大阪・関西万博(4月13日~開催)で、SkyDriveの「空飛ぶクルマ」のデモフライトが予定されており、4月21日に『「空の移動革命への挑戦」日常的に空を活用する未来を目指して』セミナーが開催される。
セミナーに登壇するのは、株式会社SkyDrive最高技術責任者(取締役 CTO)兼 航空安全統括管理者の岸 信夫氏。講演の後には、セミナーのモデレーターであるスズキマンジ事務所 代表の鈴木万治氏を交えて、参加者からの質疑応答やディスカッションの時間が用意されている。
セミナーの見どころを岸氏に聞いた。

飛行機とクルマの間を埋める「空飛ぶクルマ」
---:世界中で「空飛ぶクルマ」について機体開発と事業化が進められています。日本でも政府が後押しするなどしてベンチャー企業を中心に動きがありますが、イメージが先行して実態が見えにくいといった面もあります。まず、空飛ぶクルマとはどういうものなのか、改めてご説明いただけますか?
岸 信夫氏(以下敬称略)」定義の仕方はいろいろあるかと思います。ここでは「自動車のように、日常的に気軽に使える空のモビリティ」という表現を使いたいと思います。陸上のモビリティには自動車や列車などがあります。空中のモビリティはいまのところ飛行機が中心です。飛行機は、滑走路のような広い土地が必要で、エネルギーも多く必要なので、長距離・大量輸送が前提となります。自動車と飛行機の間を埋めるようなモビリティが空飛ぶクルマと言うことができます。
日常的に気軽に使える、という点を満たすには、滑走路が不要で好きなところに点から点での移動がポイントとなります。そのために必要な機能は1:垂直離着陸、2:電動化、3:自動化になると考えています。
---:なるほど、言葉に「クルマ」と入っていますが、タイヤがついていて道路を走れることは重要ではなく、空の移動をクルマのように気軽にできる乗り物ということですね。
岸:はい。もちろん道路を走れる機能と空を飛べる機能がいっしょになっていてもいいですが、そこは本質ではありません。空港のような限られた大規模な拠点ではなく、中近距離でも決められた地点ごとの空間移動ができれば、渋滞などの陸上輸送の問題を回避した、新しい移動手段が確保できます。
空飛ぶクルマには、主に大型の固定翼タイプと小型のマルチコプタータイプの2種類ありますが、SkyDriveは小型・軽量のマルチコプターを開発しています。小型のため、都市間の移動というよりは、都市内の移動での活用を目指しています。


飛行機・ヘリではダメな理由
---:なるほど。自動化・自律航行は今後重要になりそうですね。電動モビリティの場合、バッテリーの重さを考えると、パイロットの重量も輸送能力に影響します。しかし、そのニーズに応えるのは現状のヘリコプターではだめなのですか?