英国の自動車メーカー、マクマートリー・オートモーティブが、世界初となる車両の「逆さま走行」に成功した。同社のサーキット専用ハイパーカー『スピアリング』が、独自のダウンフォース技術を用いて重力に逆らい、特殊な回転装置の「天井」を走行したのだ。
この画期的な実験は、同社の共同創業者兼マネージングディレクターであるトーマス・イェーツ氏が操縦し、グロスターシャー州にある本社で行われた。スピアリングは、特許取得済みの「デマンド式ダウンフォース」システムを搭載しており、これにより車体を「床(天井)」に吸い付かせることが可能となった。

この技術デモンストレーションは、従来から議論されてきた高性能レースカーの逆さま走行の理論を実証するものとなった。スピアリングのシステムは、低速時でも充分なダウンフォースを生み出すことができ、これが今回の成功につながった。
さらに、同じ車両が英国の自動車番組『トップギア』のテストコース記録を3.1秒更新したことも発表された。これは2004年のルノーF1マシンが持っていた記録を塗り替えるものだ。スピアリングはすでにグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライム記録なども保持している。

マクマートリー・スピアリングは、英国製の1人乗り電動ハイパーカーで、昨年12月に他界した発明家サー・デイビッド・マクマートリー氏のビジョンを受け継いで開発された。0-96km/h加速は1.5秒、0~400mタイムは8秒という驚異的な性能を誇る。
今回使用されたのは、プロトタイプの「VP1」で、2026年に予定される量産モデルの前段階となるものだ。量産版では100kWhのバッテリーを搭載し、GT3クラスのペースで20分間の走行が可能になるという。