ガソリン補助金が0円に---制度発動以来、3年で初めて

(イメージ)
(イメージ)全 4 枚

政府によるガソリン補助金が4月17日から0円になる。「コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業」として、「燃料油価格激変緩和補助金」が市況や原油価格に応じて元売り業者に支給されていたもの。0円になるのは2022年1月に制度が発動して以来、初めて。


●基準価格185円/Lを下回る

資源エネルギー庁によると、2025年4月14日付けのガソリン全国平均価格は186.5円/L(前週比+0.2円)となった。資源エネルギー庁が毎週集計しているガソリン全国平均価格は、次回4月21日の集計では、「直近の価格調査結果(186.5円)+前週の支給額(4.4円)+直近の原油価格の変動分(−8.2円)」=182.7円/Lと予測される。予測価格が基準価格の185円を下回っているため、 4月17日以降の支給額は0.0円(支給無し)とする。

燃料油価格激変緩和対策事業とは、コロナ禍における「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(2024年11月22日閣議決定)などに基づき実施する施策。原油価格高騰が、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため、および国際情勢の緊迫化による国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格を抑制する手当てを行ない、小売価格の急騰を抑制し、消費者の負担を低減することを目的とする。累計予算額は令和6年度(2024年度)補正予算までに8兆1719億円となっている。

●卸業者に補助金を支給

激変緩和事業は、2022年1月24日調査時点におけるレギュラーガソリンの全国平均が170.2円/Lとなり、発動要件の170円を超え、発動した。発動当初は、当該価格が170円を超えた分を最大5円の範囲内で補填し、事業期間は2022年3月末までとされていた。発動の基準価格や補助上限額その後、複数回にわたって変更され、事業期間も延長されて継続中だ。現在の対象油種はガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料。

小売価格の急騰を抑制するスキームは、国から元売事業者などへの補助金の支給だ。元売事業者は、小売事業者(ガソリンスタンドなど)への卸価格を抑制し、小売事業者は消費者が購入する際の小売価格を抑制するというもの。月曜日に価格調査を行ない、この価格と原油価格の変化をもとに、水曜日に支給単価を公表し、元売事業者は木曜日に卸価格に反映させる。元売事業者は事後的に国に支給額を請求する。

●出口に向けて段階的に対応

激変緩和事業は緊急措置として開始した。政府が2050年のカーボンニュートラル実現を宣言している中で、2024年12月から出口に向けて段階的に補助を縮小している。現在の基準価格は185円で、185円を上回る価格に対する補助率を段階的に見直すことになっている。前述の通り、予測価格が基準価格を下回るため、 4月17日以降は支給無しとする。

資源エネルギー庁によると、円建てドバイ原油価格(週平均)は4月8~14日集計で60.2円/L。1月から約20円下がっている。激変緩和事業が発動されてからの最高値は2022年6月7~13日集計の97.9円/Lで、この時は補助金が40.5円だった。補助金がなかった場合のガソリン価格は210円/L以上と予想されていた。

最近1か月のレギュラー価格最近1か月のレギュラー価格

●現在の実勢価格は?

ガソリン価格投稿/愛車燃費管理サービス「e燃費」(運営:イード)によると、4月16日のレギュラーガソリンの全国平均購入価格は174.1円/Lだった。前週比マイナス0.1円。

なお資源エネルギー庁による平均値は「販売」価格の平均であるのに対し、e燃費は「購入」価格の平均。現実の購入でユーザーは安い価格を指向するので、購入価格平均は販売価格平均より安くなる。


●全国のガソリン価格平均推移、価格ランキングなどを「e燃費」で確認することができます。
e燃費最寄りのガソリン価格とランキングをチェック!!

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る