カーオーディオシステムを進化させようと思ったときの、製品選びのコツを全方位的に解説している当連載。現在は「外部パワーアンプ」の選択における“勘どころ”を説明している。前回からは注目モデルの紹介を開始した。今回は「モレル」のラインナップに焦点を当てる。
◆世界的なスピーカーブランドの「モレル」が、2018年に満を持して「アンプ」も発売!
さてモレルは、イスラエルに本拠を置く世界的なスピーカーメーカーだ。ホーム用とカー用の両方でスーパーハイエンドモデルからエントリー機までさまざまな製品を擁し、マニアから初級者までの幅広い層にモレルならではの温かく豊潤なサウンドを提供し続けている。
ちなみに同社が設立されたのは1975年と古く、以来スピーカーブランドとしてその名を轟かせてきたわけだが、2018年に満を持してカー用の「外部パワーアンプ」の初リリースに踏み切った。『MPSシリーズ』と銘打ったスタンダードグレードモデルを3機種発表し、日本のカーオーディオフリークたちにも大きな話題を振りまいた。
なおその時に発売されたのは、4chモデルと1chモデル、そしてその2台が1つに合体された5chモデルの計3台。しかしその5ch機は後に姿を消し、それに代わって上級ラインとなる『MPS LIMITED』シリーズが発売され、現在は2ライン計4機種体制となっている。

◆上級ラインでは音にこだわったモデルを用意し、マニアに訴求!
各機の名称と主要スペックは以下のとおりだ。
●2chパワーアンプ『MPS 2.150 LIMITED』(2ch×150W<2Ω>、2ch×150W<4Ω>、税込価格:17万500円)
●1chパワーアンプ『MPS 1.1100 LIMITED』(1ch×1100W<2Ω>、1ch×650W<4Ω>、税込価格:18万9200円)
●4chパワーアンプ『MPS 4.400』(4ch×100W<2Ω>、4ch×70W<4Ω>、税込価格:9万4600円)
●1chパワーアンプ『MPS 1.550』(1ch×550W<2Ω>、1ch×350W<4Ω>、税込価格:9万4600円)
このように、MPS LIMITED シリーズとスタンダードラインとなる『MPS』シリーズのそれぞれで2機種ずつが用意されラインナップが構成されている。なおMPS LIMITED シリーズには4chモデルがなく、MPS シリーズには2chモデルがない。つまり上級ラインは音にこだわった層に訴求すべくハイグレードな2chモデルが用意され、スタンダードラインでは使い勝手の良い4chモデルが提供されているという格好だ。
ちなみにMPS LIMITED シリーズには2段重ね用のブラケットもラインナップに加えられていて、MPS シリーズの方にはベースレベルリモートコントローラーとハイレベル入力用のRCAコンバーターも名を連ねている。

◆音にこだわるなら上位機を、使いやすさを重んじるなら標準機を!
ちなみに、MPS LIMITED シリーズとMPS シリーズとの性能差は結構大きい。というのもトップエンドモデルとなる『MPS 2.150 LIMITED』の1chあたりの税込価格は8万5250円で、スタンダードモデルの『MPS 4.400』のそれは2万3650円だ。その差はざっと3.6倍に及ぶ。
かくしてパワー差も相応に開いている。トップエンド機は4Ω接続時で1chあたり定格150Wを出力するが、スタンダード機では同条件にて定格70Wを発揮するにとどまる。もちろんこの数字の差と性能差は比例するものではないが、上位機は余裕を持ってソースを鳴らせる分、一層の高音質再生を可能としている。
なお両ラインともにサブウーファー用の1chモデルも用意しているわけだが、ともに4Ω接続と2Ω接続とに対応しパワフルにサブウーファーをドライブできる。特にMPS LIMITED シリーズのモデルでは、2Ω接続時には1100Wもの大パワーを繰り出せる。
安心して使える手頃な「外部パワーアンプ」に興味があれば、そして高音質なハイエンド「外部パワーアンプ」を探しているのなら、モレルのモデルのチェックもぜひに。