音質を左右する「インナーバッフル」って何者?[カーオーディオ・素朴な疑問…インストール編]

「インナーバッフル」を用いてドアスピーカーが取り付けられた例。
「インナーバッフル」を用いてドアスピーカーが取り付けられた例。全 3 枚

愛車のサウンドシステムを進化させることに興味を抱くドライバーは、少なくないに違いない。しかしその実践を思い立っていざいろいろと調べてみると、用語や仕組みが難解で壁にぶつかる……。当連載は、そのような状況の打破を目指して展開している。

◆「インナーバッフル」とは、ドアスピーカーの取り付けベースとなるパーツ!

今回からは、カーオーディオ機器の“取り付け”にまつわるあれこれを解説していく。なお、音響機器の取り付けのことは「インストール」と呼ばれることが多いので、覚えておいていただきたい。

では、まずはスピーカーの取り付けに関する“分かりづらい”事柄について説明していこう。実はドアスピーカー(ミッドウーファー)を取り付ける際には、「インナーバッフル」と呼ばれるパーツが必要となる場合がかなり多い。さて、これは一体何かというと……。

これはつまり、ドアスピーカーの土台となるパーツだ。純正スピーカーの多くは取り付け用のベース部分が一体化されているので取り外すとベース部分も併せて除去される。で、ベース部分のない鉄板に、市販スピーカーを直付けするのは御法度だ。

御法度である理由はさまざまあるが、第一の理由は「スピーカーの取り付け穴の位置とドアに開けられている取り付け穴の位置が一致しない場合がほとんどだから」だ。

市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K5312)。市販「インナーバッフル」の一例(カロッツェリア・UD-K5312)。

◆インナーバッフルを使えば、スピーカーの取り付け用のビスを受けられる!

というのもドアに開けられている純正スピーカー用の取り付け穴の位置は車体メーカーごとで異なっていて、その穴の位置と市販スピーカーの取り付けフレームに開けられている取り付け穴の位置は、車種専用モデルでない限りぴたりと一致することはまずない。

しかし、ドアに開けられている取り付け穴に合わせて装着できるインナーバッフルをドアに付ければ、それにてスピーカーの取り付け用のビスを受けられるようになる。結果、さまざまなスピーカーの装着が可能となるのだ。

次いでインナーバッフルが必要である2つ目の理由を説明しよう。それは、「鉄板の共振を抑制できるから」だ。

クルマのドアは鉄でできているとはいえ、鉄板はかなり薄いのでドアに取り付けたスピーカーの背面から放たれる音エネルギーによりいとも簡単に共振する。また、スピーカー自体の磁気回路から発せられる動力エネルギーによっても共振しがちだ。

なおひとたび鉄板が共振すると異音が出て、その異音がスピーカーの表側から放たれる音を濁すこととなる。

市販インナーバッフルの一例(カロッツェリア・UD-K521 他)。市販インナーバッフルの一例(カロッツェリア・UD-K521 他)。

◆インナーバッフルを使うと、ドア内部での窓ガラスとの干渉を防止可能に!

でもインナーバッフルを装着すると、鉄板の共振を抑制する効果も発揮されることとなる。結果、音が良くなる。

そしてこれが必要である3つ目の理由は、「スピーカーを立ち上げられるから」だ。ドアの内部には窓ガラスが降りてくる。しかしもしもスピーカーを鉄板に直付けすると、スピーカーと窓ガラスがぶつかってしまう可能性が高くなる。

しかしインナーバッフルを用いてスピーカーを取り付ければ、スピーカーをドアパネル面から浮かせられるので奥側にクリアランスを生み出せる。かくして、窓ガラスとの干渉を避けられる。

そして4つ目の理由は「スピーカーの足場を固められるから」だ。スピーカーは、磁気回路にて発生したエネルギーを振動板に伝えて空気を震わせて音を伝えるが、ドアの鉄板は軟弱なのでそのエネルギーをロスしがちだ。しかしインナーバッフルを用いれば足場が固まり踏ん張りが効き、動力エネルギーのロスが減るのだ。

今回は以上だ。次回以降もインストールに関連する“分かりづらい”事柄の解説を続行する。お楽しみに。

《太田祥三》

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