【スズキ ハヤブサ 試乗】かつての最速マシンは今、何を語りかけてくるのか…佐川健太郎

スズキ ハヤブサ
スズキ ハヤブサ全 30 枚

かつての最速マシンは今何を語りかけてくるのか。『Hayabusa(ハヤブサ)』にあらためて試乗してみた。

詳細画像:スズキ ハヤブサ 最新モデル

現行の「Hayabusa」は2021年に登場した3代目である。初代が掲げた「アルティメットスポーツ(究極のスポーツ)」というコンセプトを引き継ぎながら、特に電子制御や快適性を大きく進化させてきた。

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

エンジンは従来の1339cc直列4気筒をベースにしつつ、扱いやすさと耐久性をさらにアップ。空力性能も一段と高められ、デザインもひと目でハヤブサと分かる強烈な存在感をアピールしている。強靭なフレーム構造も継承しつつ、重量バランスの最適化やサスペンションとブレーキ性能も強化されるなど、スズキのフラッグシップモデルに相応しいアップグレードが施されている。

実車を目の前にすると、その圧倒的な存在感に息を呑む。新色のマットグリーンで包み込まれた完璧なエアロフォルムが燦然とオーラを放っている。

◆相変わらずの重厚感、だが親しみやすい

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

いざまたがってみると、相変わらずの重厚感。ヌラリとした曲面を持つ分厚いカプセルのような車体は、それが超高速移動体であることを雄弁に物語っている。

ただし、ハンドル位置が先代より手前になってポジションは楽に、取り回しもしやすくなっている。シートも低めで足つきも悪くはなく、このサイズ感のわりには親しみやすい印象だ。

エンジンに火を入れると、低く唸るような重低音サウンドが響きわたる。クラッチも軽く、発進はとてもスムーズ。低速域から豊かなトルクが感じられ、街中のストップ&ゴーも半クラだけで事足りるほど。流すように走っていても余裕たっぷりだ。

◆軽くスロットルを開けるだけで景色が溶けていく

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

一方で加速力は異次元だ。ちょっと油断していると軽く法定速度を超えてしまう。スペック的には従来型より最高出力が抑えられているはずなのに、それを感じさせない加速感。スズキは単なる数字ではなく、「乗ってどう感じるか」で勝負してきたと思う。ただひたすらに“究極”を追い求める求道者のようでもある。

高速道路では静かに平和な時間を流れていく。どの速度域でも余裕しゃくしゃくで、軽くスロットルを開けるだけで景色が溶けていく。風を切って滑空するような感覚はまさに“隼”ならでは。普通に高速クルーズしている分には無音・無風に近く、他のバイクではなかなか味わえない独特の乗り味だ。「頑張らなくても速い」、それがハヤブサの魅力と言っていい。

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

でも、本気はまだここから。SDMS-αを最強「A」モードにセットすると、まるで巨大戦艦の主砲のような一撃が炸裂。気がついたら、さっきまでいた場所がはるか後方に――そんな“ワープ”感覚を味わえる。その圧倒的な加速には恐怖すら覚えるはず。ハヤブサの前では性能を引き出して走るなど、ただの戯言になってしまうのだ。

◆走るほどに「アルティメットスポーツ」の意味が伝わってくる

コーナーでも“究極のスポーツ”としての実力を存分に見せてくれる。従来モデルは低速コーナーではやや巨体を持て余す印象もあったが、新型ではそのネガが見事に消えている。交差点を曲がるような場面でもまったくグラつかず、目線を送るだけで思い描いたとおりのラインをなぞっていく。

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

郊外に出て少しペースを上げてみたが、街乗りだと少し硬さを感じたサスペンションも、速度が上がるにつれて動きもしなやかに。常に低い姿勢のまま路面に吸い付くように走り、絶対的な安定感をキープしたまま豪快に曲がっていく。きっと新型が注力したサスペンションと重量バランスの最適化が効いていると思う。

また、超高速域からのフルブレーキを想定したブレンボ製4Pラジアルマウントのストッピングパワーは圧巻で、タイヤが悲鳴を上げる前に6軸IMUによって制御される前後連動ABSが、安全かつ強烈にスピードを削ぎ取っていく。コーナリング対応のトラコンも含め、信頼性も大幅に高まったと感じだ。

スズキ ハヤブサスズキ ハヤブサ

走れば走るほど、「アルティメットスポーツ」の意味が、じわじわと実感として伝わってくる。ただ速いだけでなく、深みと品格を備えた成熟した「究極」の姿がそこにあった。誰にでも好まれるバイクではないかもしれない。だが、その魔性の虜になった者は、もはや抗う術を失うだろう。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ホンダの最高級ミニバンが復活か?『エリシオン』後継でアルファードに挑む
  2. 次期『ノート』が日産復活の切り札となる? 2027年登場へ、価格は約30万円上昇か
  3. フィアット『トポリーノ』、「スポーツ スペシャルエディション」欧州発表…1958年の伝説的モデルに着想
  4. スズキ『アルトワークス』復活なるか!? 軽スポーツ復権への期待
  5. 【BYD シーライオン6 AWD 新型試乗】「広い・速い・安い」この万能PHEVに弱点はないのか? 300kmを走り検証した
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 警察庁、高齢運転者技能検査を見直しへ 合格者の事故率を追跡調査してみたら…
  2. AIDVの開発にもAIを活用、日産がプラットフォームをデモ…AWS Summit Japan 2026
  3. 超高硬度クロムめっき、EV・半導体部品の長寿命化に貢献…大型量産設備をサン工業が稼働 
  4. 3000アンペアの急速充電に世界初成功、電動トラックの未来を切り開く…MAN
  5. 【日産 リーフ 新型】次世代EVのスタンダードを描いた、“スーパーエアロ”と“スーパーフラッシュ”デザイン
ランキングをもっと見る