「軌陸車」という車両があります。1台で鉄道のレールと道路の両方を走れるおもしろい車両で、鉄道会社が保線・保守用の車両として運用しています。西武鉄道が6月7日に開催する「西武・電車フェスタ2025 in 武蔵丘車両検修場」で、この軌陸車を間近に見る機会があります。
線路の保守は最終列車から始発列車までの限られた時間内で行われるのが一般的。保線基地から工事現場まで距離がある場合、人員や資材を最終列車の後に線路を経由して現場に輸送するより、現場近くに待機させたほうが時間がかかりません。そのために現場近くの踏切まで道路を移動し、踏切から現場まではレールを移動するのが軌陸車です。また、災害や事故からの復旧では、そもそも鉄道が不通になっているケースも。
軌陸車は道路と線路が交差する踏切から線路に進入します。軌陸車は踏切の線路上で、線路の進行方向に対しておおむね直角に停車すると、車体下部から転車台を下ろして車体を浮かせます。車体を回転させ、鉄道軌道走行用の鉄輪を展開した後、転車台を縮めて車体をレールの上に載せます。
西武鉄道では軌陸車を架線など電力設備の点検や不具合の復旧に用いています。架線の修理なので当然電源は切られており、鉄道車両では工事現場に接近しにくいわけです。
7日のフェスタでは、あらかじめ線路へ載せている軌陸車を線路から取り外し、隣の線路へ載せる作業と、線路上での走行実演が計画されています。

西武・電車フェスタ2025 in 武蔵丘車両検修場は6月7日に、西武鉄道最大の車両検修施設である武蔵丘車両検修場(埼玉県日高市)において開催されます。最寄駅は池袋線高麗駅。会場では、電車を載せて移動する大型機械・トラバーサーへの“乗車”をはじめとした各種体験や、保守用車の展示などを実施する予定です。さらに、池袋線の前身である武蔵野鉄道が開業110周年を迎えたことを記念したブースも展示されます。入場料は無料で、事前の申込も不要。