「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」(総監督:哀川 翔)が昨年2024年から参戦を開始した『XCRスプリントカップ北海道』。2025年シーズンの参戦発表と公式テスト走行を群馬県の浅間サーキットで開催。参戦車両である三菱『トライトン』のテストがプレス向けに公開された。
◆初参戦の大クラッシュから奇跡の復活! 今年のトライトンは完成度が段違い

哀川 翔さんが総監督を務めるFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESは、昨年の『アジアクロスカントリー』(AXCR)のクラス優勝をはじめ、数々の輝かしいリザルトを持つラリーの有力チームの1つ。昨年からトライトンをベース車両にドライバー:川畑真人選手/コドライバー:中田篤選手の体制でXCRスプリントカップ北海道へ参戦している。

しかし参戦初年度となる2024年は新たに投入したトライトンのセッティング不足(AXCR直後の参戦が影響した)があり、大きなクラッシュを喫してレースを棄権することになった。リベンジに燃えるFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESと川畑選手は満を持して2025年シーズンの参戦を決定した。
テスト会場となった浅間サーキットはあいにくの雨模様となったが、リニューアルされ各部のパーツ類をセットアップしたトライトンが用意され、哀川翔監督、ドライバーの川畑選手も参加して開催された。

トライトンは昨年のクラッシュでキャビン後部、荷台部が大きく変形していたものの、見事な修復を施し新車同様の状態にまで戻されていた。修復と同時にベッド部分の肉抜きなど、軽量化も果たすことでも戦闘力アップにつなげている。


さらに昨年はスプリングのみの交換で純正ショックを使っていた急造の足まわりも、キング製ショックアブソーバー+HALスプリングを用いて、十分な足まわりの完成度を備えた車両に生まれ変わっている。またJAOS製オーバーフェンダー、プロジェクトミュー製6POTキャリパーなどの装備も加わった。加えて川畑選手からのリクエストもあり実現したのが、三菱自動車によるECUのセットアップだ。シフトタイミングなどを調整してラリーで乗りやすく操作しやすいシフトのつながりを作り出しているのも特徴となった。
◆足元には信頼と実績の「OPEN COUNTRY」を装着、新製品の「R/T TRAIL」が新たな武器となる

そんな車両を支えるタイヤとして今シーズン新たにチョイスされたのはトーヨータイヤ「オープンカントリー R/T トレイル」だ。好評のラギッドテレーンの新製品として投入されたR/T トレイルは、荒々しいトレッドパターンを持ちつつ、よりA/Tに近い性格を備えたタイヤとして注目されているモデルだ。またサステナブル素材を採用している点でも、新世代のタイヤとしてトーヨータイヤがプッシュするモデルでもある。当日サポートに訪れていたトーヨータイヤ グローバルマーケティング 部長の吉川 誠さんからは、オープンカントリーとXCRスプリントカップ北海道との相性の良さが語られた。

「ラリーカムイ、ラリー北海道ともにフラットダートが多いシチュエーションです、さらに雨の少ない時期であることで泥濘路面も少なく、またロックなどを走るシーンは無いため、A/Tに近いタイヤであるR/Tトレイルは有利に働くと考えます」
実際に今シーズンのXCRスプリントカップへの参戦車両には、オープンカントリーR/Tトレイルをチョイスする車両が増える傾向にあることからもトーヨータイヤ勢の活躍に期待が高まる。
◆シェイクダウンから静かなる自信を覗かせた川畑選手に期待大

小雨のが降り続く悪コンディションの中、川畑選手がトライトンのハンドルを握りテスト走行が開始される。硬いフラットダートからやや深めのグラベル路面までのコースは、ラリーカムイ/ラリー北海道の走行シーンにも近いシチュエーションだろう。走行後すぐさま川畑選手に新しくなったトライトンのフィーリングを聞いた。

「昨年とはまったくの別物です、安心してアクセルを踏み込んでいけるので十分なテストができました。走り込んでいくと路面状況は悪化していきブレーキングやステアリングにシビアな状況でしたが、それでもかなりレベルの高い走りが可能でした。またシフトタイミングを変更したのでDレンジで回転を落とさないまま走ることができるようになった点も良かったです。トライトン特有のトルクを使うことで細かなコーナーからの立ち上がりに有利な点があると感じました。本戦までには微調整で仕上げられると感じました」
さらに、新しく投入したオープンカントリー R/T トレイルの印象も聞いてみた。

「トライトンとR/Tトレイルの組み合わせでの走行は初めてだったのですが好印象でした。雨でコンディションが悪い中、ハンドリング、ブレーキングでの安心感が高いです。きっちり向きが変わる、きっちり止まるといった点が特に印象に残りました。限界近くの操作をいろいろと試したのですが、ちゃんと応えてくれるタイヤです。どんどん路面が掘れてしまう状況でしたがコントロール性をしっかり備えている点も安心して走れました。また“これ以上がダメ”という限界までのコントロール幅が広いのもこのタイヤの特徴で、ドライ路面ならもっと攻めて走れると思うので期待しています」

テスト走行後にはチームのカンファレンスが実施され哀川 翔監督、川畑選手に加えて、アジアクロスカントリーラリーへ参戦するドライバーの山崎元彰選手/コドライバーの中田昌美選手が登壇(マシンはランドクルーザープラドをさらにアップデートして投入。当日もテスト走行が実施された)。そんな中、XCRスプリントカップ北海道に向けた意気込みが川畑選手から語られた。

「7月のラリーカムイを実戦テストとして考え、ラリー北海道で結果を求める走りをしたいと思っています。昨年はアクシデントもおきましたが、今年は完走して結果を残す走りをお見せします」

また哀川 翔監督からもチームへの熱い激励がなされた。
「気持ち良くレースに臨んで欲しいです、完走すればトップレベルなのは間違いないので最後まで走りきってラリーの醍醐味を多くの人に伝えて欲しいです。そうすることで自ずと優勝はついてくると思っています」

今シーズンXCRスプリントカップ北海道でのリベンジを期すFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES。まずは7月5日、6日のラリーカムイを皮切りに、9月5日から7日のラリー北海道での走りも楽しみだ。新しくなったトライトン+オープンカントリーR/Tトレイルを駆る川畑選手の熱い走りに期待しよう。