AI Defined Vehicle時代に対応するSoCソリューション、「ARM Zena CSS」発表

NPUやGPUはECUベンダー、OEM他が任意に設計可能
NPUやGPUはECUベンダー、OEM他が任意に設計可能全 6 枚

ADAS+、E2E自動運転、SDVと車両の進化に合わせて無視できない存在がクラウド(バーチャル空間)とAIだろう。また、中国系を筆頭に新しい市場プレーヤーの台頭は、これまでの車両開発サイクルを過去のもにしようとしている。

AIとクラウドは、コネクテッドサービスや運転支援、自動運転といった車両の機能と、設計支援・テストの自動化・開発期間の短縮といった開発フェーズの両方に深く関わっている。

モバイル機器、データセンターサーバー、産業機器や自動車向けのSoCベンダーであるARM(アーム)は、車両の開発フェーズに対する新しいソリューション「ARM Zena CSS」を6月4日に発表した。


ECU開発期間を12か月短縮するソリューション

ARM Zena CSS(Compute Subsystems)は、OEMやサプライヤーが統合ECUやHPCユニットなどを設計する際のSoC開発の開発スピードと必要なリソースの削減に貢献するソリューションだという。SoCの開発スピードは、従来方式から約3年、クラウド環境や仮想化環境を利用したプロトタイピングを取り入れた方式(2024年、ARMが発表したバーチャルプロトタイプ)との比較でも約12か月の短縮になる。開発リソース(人員・時間)は約20%削減できるという。

バーチャルプロトタイプでは、SoCに必要なプロセッサなどをクラウドインスタンスとして実装し、ハードウェア全体の設計とプロセッサやソフトウェアの設計をオーバーラップさせることが可能になる。これによって大幅な時間短縮が可能だが、Zena CSSを導入すると、ハードウェア設計、ソフトウェア開発の期間をさらに短縮できるという。

バーチャルプロトタイピングで従来工程より2年短縮。さらにCSS導入で1年、合計3年の開発スピードアップ

Zena CSSは、CPUクラスタ、I/O、電源部、セーフティランド、セキュリティ区画など、事前検証済みのサブシステムとして提供し、ユーザー(OEMやサプライヤー)は、ECU等のハードウェア要件に見合ったSoC構成を作りやすくする。

現状、CPUまわりのSoCサブシステムがメインとなる。それ以外のNPU(ニューラルネットワークプロセッシングユニット)やGPUは、ユーザー企業がそれぞれの製品にあった構成でECUやHPCを設計することになる。ARMでは、将来的にはNPU、GPUもサブシステム化する計画はあるようだが、当面はSoCのコア部分にフォーカスする。

Zena CSSでAI Defined Vehicleのプラットフォーマーへ

Zena CSSは一般ユーザーには9月から提供されるが、すでに一部の先行ユーザーに試験的な導入を行っているという。Zena CSSのサブシステムはランタイムライセンス(RTL)の形式で提供される。


《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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