サブコンが再評価される理由と純正ECU時代の新常識~カスタムHOW TO~

サブコンが再評価される理由と純正ECU時代の新常識~カスタムHOW TO~
サブコンが再評価される理由と純正ECU時代の新常識~カスタムHOW TO~全 3 枚

現代のエンジンはコンピュータによって制御されている。アクセルの操作によって得られた信号に応じて、ガソリンを噴射し、プラグに点火して爆発させている。その量やタイミングなどすべてをコンピュータで制御して、そこから発せられた信号によって動いている。

だが、エンジンパワーを高めるときにこの内部データとマッチしなくなってしまうことがある。エンジンチューンして排気量が変わったり、タービンを変えたり、ブースト圧を変えたりすると、もともとのデータではマッチしなくなってしまう。そこで行われるのがECUチューンと呼ばれる手法。内部データを編集して、エンジンチューンに合わせたデータにする。

◆ECUチューンでパワーアップ!でも高コスト&高ハードル

しかし、これには1台ずつECUのデータを書き換えたり、ときには1台ずつシャシーダイナモと呼ばれる装置でパワーやトルクを計測しながらデータの調整をしたりが必要になる。必然的にコストも掛かってくる。大まかに言えば純正ECUデータの書き換えが10~15万円ほど。1台ずつに合わせた現車合せはそこにさらに5万円ほどが追加されて15万~20万円ほどのコストは掛かるのが一般的。

そこでサブコンが使われることがある。サブコンピュータの略で、その名の通りサブ的な役割を持つ装置のこと。ECUの内部データを書き換える「ECUチューン」、そのECU自体を違うものに置き換えてしまう「フルコン」(フルコンピュータ)があるが、サブコンはまた異なる。

◆サブコンの仕組みとメリット

サブコンは純正ECUから発せられる信号に手を加えたり、純正ECUに入る圧力センサーからの信号に手を加えて、純正ECUから異なるデータを発せさせたりするもの。

最近のターボ車で多いのは、ブースト圧のセンサーからECUに入るまでの間にサブコンを入れる。本来ブースト圧が0.8kg/cm2のところを、0.6kg/cm2としてECUに信号を入れる。するとECUは本来の0.8kg/cm2までブースト圧を高めようとそれに合わせた燃料を噴射し、点火してくれる。0.2kg/cm2分だけブースト圧を上げることができ、それに合わせたデータをECUが供給。結果、ブーストアップされパワーやトルクを高めることができるのだ。

◆純正ECUプロテクト時代に再評価!サブコン復権の背景

90年代以降ECUのチューニングというとサブコンは入門者向けの初歩的チューンの代名詞。軽くデータに補正を加えて若干パワーアップできるパーツという認識が多かった。

本格的にパワーを出すなら純正ECU書き換えか、フルコンへのコンバージョンというのが定番だった。

だが、ここ数年急速にサブコンが見直されている。その理由が純正ECUのプロテクトの難しさにほかならない。自動車メーカー側としてはECUデータの書き換えはエンジンが壊れたり、予想外のトラブルが起きる可能性があり、決して行ってほしくない。そこで年々プロテクトを厳しくしていて、なかなか純正ECUの内部データを編集することが難しくなっている。

だが、サブコンであれば元の純正ECU内部のデータを書き換えるわけではなく、その前後の信号を変えるだけなので純正ECUの内部データにアクセスできなくてもパワーを引き出すことができるのだ。

◆サブコンの“今”と実用メリット

最近ではGRヤリスが典型的な例だ。純正ECUの書き換えチューンがなかなか実現せず、サブコンがメインに普及した。現在ではECU書き換えチューンも可能になったが、サブコンによるパワーアップとさほど効果が変わらず、コストパフォーマンスを考えるとサブコンを選ぶ人も多い。このように一時期はほぼシェアのなくなったサブコンだったが、最近は再び脚光を浴びている。

また、取り外しできるのもメリットで、車両を売る場合には外してノーマルにして売却し、サブコンもオークションなどで売ったりできる。ディーラーに車検などで入庫するときにも一旦外してノーマルにして入庫することなどもできる。そういった面でもサブコンは見直されているのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. 世界最高級ピックアップトラック誕生!? トヨタ『センチュリーピックアップ』の可能性
  3. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  4. 日産 リーフ 新型を発表、第3世代は航続600km超のクロスオーバーEV
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る