スバルのBEV、『ソルテラ』に乗って2年が経過し、走行距離は2万9231kmとなった。24か月で割れば月に1217km乗っていることになる。もう少し乗っているような気がするが、月平均にすると意外と普通の車と遜色のない使い方だったことに気がついた。
◆スバル・ソルテラ2年目のコストと走行実態

さて、そんなソルテラだが、24か月乗ってのコストを計算してみた。購入当時の価格は若干曖昧なのと、毎年価格が改定されているため、スバルのHPに掲載されている2025年5月現在の価格を基準に算定していく。
ソルテラにはET-SSとET-HSという2グレードがある。内装やシート表皮がファブリックか本革かの違い、ET-SSは18インチだが、ET-HSは20インチのタイヤを装着するなどの装備の違いがある。走行用バッテリーに関しては同等だが、ET-SSはFWDモデルとAWDモデルが存在し、ET-HSはAWDのみという違いもある。FWDはモーターが1つ、AWDはモーターが2つという点でも価格差が生じる。
スバルのHPでできるセルフ見積もりで、自分が購入したときと同じ条件で計算してみる。ソルテラはET-HSのメーカー希望小売価格は715万円で、そこにパノラマムーンルーフとルーフレール22万円を装着し、11万6050円のベースキットを装着して、諸費用込みを足して759万1810円になった。(消費税込み)
購入時に国からの補助金が最大で90万円、さらに自治体の補助金が出る場合もある。東京都の場合最大で60万円が補助される。(2025年5月時点の最大値)。この補助金に関しては毎年算定額が変化するのと、メーカーや車種によっては最大金額が補助されない場合があるので、購入時に確認することが必須となる。
ちなみに2025年5月現在のスバル・ソルテラET-HSの場合は、国からは65万円と東京都30万円の補助金が新車購入時に申請すれば補助が受けられるので、実質的には691万1810円になる。ちなみに2025年5月現在のスバル・ソルテラET-HSの場合は、国からは65万円と東京都30万円の補助金が新車購入時に申請すれば補助が受けられるので、実質的には691万1810円になる。ただし所有4年以下の場合は補助金を返金しなくてはならないので、補助金を受けるのであれば最低限4年は所有しないといけない。
◆充電・電気代・メンテナンスコストの実態

さて、購入したあとは充電やメンテナンスにコストがかかる。充電に関してはスバルで充電カードを発行していないため、e-Mobility Powerの急速・普通併用プランを月会費4180円(消費税込み)を払っている。この契約だと街中にある急速充電器を1回30分フルに使うと825円(消費税込み)となる。普通充電に関しては時間計算のため出力が3kWか6kWということと、充電時間の長短で充電量が変動してくる。
過去の利用を見てみると、東京ビッグサイト地下駐車場の普通充電器6kWタイプで4時間48分、26.1kWh充電して1008円だ。イオンモールの3kWで1時間で2.8kWh充電した際は210円となっている。
e-Mobility Powerに月会費を含めて、24か月乗って支払った金額は29万1175円となる。月平均1万2132円という金額だ。
ガソリン代が高騰している昨今、筆者が所有しているスバル『レヴォーグ』を満タン給油すると1回で1万円近くかかるので、月に何度も給油していることを考えると、電気代の方が安くなる。
メーカーによっては自社で充電カードを発行しており、自社の充電設備の使い放題だったり、外出先の充電器の時間従量の値段が変わるため、BEVを購入する際には、販売店でその点も確認した方が良い。

次にメンテナンスのコストだが、新車購入時にメンテナンスパックに加入した。このメンテナンスパックはBEVだけでなく多くのメーカーや販売店が用意している。12か月点検や24か月点検、その先にある1回目の車検まで費用に含まれたパックや、さらに5年目の車検前までの点検までを含めたプランなどさまざまだ。
スバルの場合、HPにもメンテナンスパックの情報は掲載されており、普通車の場合、基本タイプ、エンジンオイル交換タイプ、車検付きエンジンオイル交換タイプ(3年・5年)、アイサイト専用車検付きエンジンオイル交換タイプなど必要に応じてプランが分けられている。
BEVの場合は車検付きワイパー交換タイプは5年しかなく、価格は5年で9万9650円(消費税込み)となる。
内容は、車検、法定12か月点検、セーフティチェック、フロントワイパーラバー交換となる。
ちなみにスバルと言えばアイサイトというくらいアイサイト装着車がほとんどのため、アイサイト専用車検付きエンジンオイル交換タイプは5年で14万2285円(消費税込み)となる。内容は、車検、法定12か月点検、セーフティチェック、オイル交換、オイルフィルター交換、フロントワイパーラバー交換となる。
BEVと内容を見比べてみるとオイル交換とオイルフィルター交換の違いだけとなる。
オイル交換をディーラーで頼むと1回あたり1万円前後、オイルフィルターは3000円前後と、ときにエンジン洗浄の添加剤を入れてみたりすると、もう少し出費が膨らむ。オイル類の交換が無い分、BEVの方がランニングコストは安くなる。
◆タイヤ・ブレーキ・バッテリーの消耗と耐久性

ちょうど12か月点検で入庫したので、特別に許可を得て撮影と見学をさせてもらったが、ボンネット内点検ではウインドウォッシャー液の確認をし、少なくなっていれば補充。その他に駆動用バッテリーの専用フルードの容量確認や、クーラントの容量確認、12Vバッテリーの充電量の確認など点検項目は多く無い。
基本的にクーラントやフルードはほとんど減ることも無いそうなので、補充することもほぼ無いという。
タイヤを外して残溝も確認したが、フロントで5.5mm、リアで5.9mmだった。大体の新品タイヤの残溝が8mm程度のため、2年間で2.5mm減った計算になる。
BEVは重量が重いためタイヤの消費が早いという情報がいっとき世間を賑わせたが、実測で見てみると、それほど早くタイヤが減っている印象は無い。
確かに重量は2トン近くあり、電気の強力な力でタイヤを擦っているようなイメージを持たれるかもしれないが、日常使いでアクセルを目一杯踏み込んでタイヤをすり減らすような走りをすることもないので、いたって普通な減り具合だと感じられる。
ミニバンや大型SUVも増えている現状において、BEVだけのタイヤ消費が早いわけではなく、据え切りやフロントタイヤの巻き込みなどで、サイドウォールまで削って走っている車両よりは減りが少ないように感じられる。
20インチのタイヤのため、実際に交換する際にはどのくらいのコストになるかは不明だが、銘柄なども含めて検討していく余地はあるだろう。

またブレーキパッドの残量も確認したが、フロントで11.7mm、リアで9.1mmだった。新品がフロントで12~13mm、リアで10~11mm程度と言われているので、全然ブレーキパッドを消費していないのが分かる。それだけ回生ブレーキで十分に減速できているという証明だろう。
駆動用バッテリーに関しては、8年16万km以内であればメーカー保証が効くため、自分の懐からお金を出して交換する必要はほぼないだろう。
BEVだから特別なコストがかかるわけではなく、むしろ通常使いのランニングコストはガソリン車よりも安いことが改めてわかった。