フェラーリが「296 GT3 Evo」発表…あらゆるコンディションで勝つ形[詳細画像]

フェラーリ296 GT3 Evo
フェラーリ296 GT3 Evo全 16 枚

フェラーリ(Ferrari)は6月27日、GTカレンダーで最も重要なレースのひとつである「スパ・フランコルシャン24時間レース」において、GTレーシングカーの新型、「296 GT3 Evo」を発表した。新型車のレースデビューは2026年シーズンを予定している。


●あらゆるコンディションで

新型車は、2024年シーズンからFIA世界耐久選手権(WEC)に参戦する「296 LM GT3」や、デビュー以来5つのタイトルを獲得した「296 GT3」で培った経験をもとに開発された。296 GT3はこれまでにニュルブルクリンク24時間耐久レースやデイトナ24時間耐久レースなどで勝利を収めており、累計で343戦140勝、405回の表彰台、56回のポールポジションを記録している。

開発にあたっては、顧客からのフィードバックや実戦での知見を活かし、あらゆるコンディションでいっそうの競争力を発揮できる車両をめざした。「モジュール性」というコンセプトを継承し、整備性やセットアップの容易さも重視している。

●空力性能ではスリップストリーム内も考慮

296 GT3 Evoの空力性能は、すでに高い空力性能とトラック上での負荷活用のしやすさとを両立してきた296 GT3から、さらに進化させた。エンジニアの目標は、さまざまなレース状況下でより予測可能で安定した挙動を実現することだった。296 GT3のダウンフォースと効率はレギュレーションの限界まで追求されており、296 GT3 Evoでは、前方車両のスリップストリーム内におけるフロントの垂直荷重安定性と空力感度を改善したという。

エクステリアではほぼすべての部分に改良が加えられている。スプリッターとフロントフロアの形状は見直され、エアフローを整えるボリュームやボルテックスジェネレーターを最適化。フロントバンパーの付加フィンも性能のバランスを追求して変更された。リアディフューザーは膨張容積やチャネル数を全面的に再設計し、空力効率をさらに高めている。また、フロントホイールアーチ上部のルーバーも開発の重要な要素で、フロントアンダーボディとの連携により、後部インテークへの空気流入を最適化している。ここでも単独走行とスリップストリームの両方が考慮された。

フェラーリ296 GT3 Evoフェラーリ296 GT3 Evo

シミュレーションはCFD(数値流体力学)と風洞試験を組み合わせ、複雑な乱流条件下での空力挙動を解析。多様な形状を短期間で検証したうえで、実車テストにより性能を確認した。これにより、耐久レース特有の「乱れた空気環境」下でも高い空力性能を維持し、スリップストリーム中でも安定したダウンフォースを発生することが期待される。

●LMGT3のノウハウを移植した

さらに外観面での特徴は、フロントボンネットに新たに設けられた2つのエアインテークがブレーキとキャビンの冷却性能を向上。リアウイングも大幅に刷新され、支持構造とサイドパネルを再設計し、LMGT3で初採用された簡単に角度調整ができる仕組みを採用している。

リアホイールアーチ付近のボディ形状はLMGT3から流用されており、ホイールアーチの前方がより垂直に近づいたカーブにすることで、複数サプライヤー製タイヤへの対応性を高めている。ドアミラーも振動特性を分析して改良され、取り付け位置や角度を見直し、視認性を向上させた。

フェラーリ296 GT3 Evoフェラーリ296 GT3 Evo

●コックピットの快適性が向上

操作性、視界、アクセス性を重視したコックピットは、基本コンセプトを維持しつつ、空調システムを強化。新たに追加されたファンにより、快適性がより高められている。

なお、現行296 GT3ユーザー向けにはアップグレードキットの提供も予定されており、新型車のレースデビューは2026年シーズンに予定されている。

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『リーフ』新型、米国EV最安値の約440万円から…今秋発売へ
  2. 【日産 ルークス 新型】「ルークスはパイクカー」開発デザイナーが立ち返った“軽ならではのデザイン”とは
  3. 第3世代e-POWERの日産『キャシュカイ』が無給油で英国縦断! その実力に日本導入への期待高まる
  4. 「本当に世に出るとは」わずか1トンの車体に800馬力V12を搭載、「超アナログ」なスーパーカーにSNS沸く
  5. 「アルパインスタイル仙台R4」がグランドオープン、待望の仙台エリアへ出店
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る