<新連載>[車載用音響機材変遷史]『カロッツェリアX』の登場がカーオーディオを変えた!?

『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。
『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。全 4 枚

モータリゼーションが成熟していく中で、カーリスニングの形も変遷してきた。当連載では、その歴史を振り返っている。ここまでは70年代から始まった「カーステレオ」の隆盛から、90年代の「カーオーディオ・ブーム」までを回顧したが、それに続いて今回は……。

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◆クルマ好き、カスタムカー好きの間で「カーオーディオ」がブームに。その中で…

前回の記事にて触れたように、90年代に入ってクルマの中でもCDで音楽が聴かれるようになったその頃、クルマ好き、そしてカスタムカー好きの間で「カーオーディオ」がブームとなる。

アメリカから持ち込まれた音質競技「IASCA(アイアスカ)」が各地で開催されるようになり、「カスタムカーオーディオ」が流行し、「低音ブーム」も盛り上がる。そうして「カーオーディオ文化」も熟成していく。“良い音”の定義が広まり、専門店のカーオーディオ機器の取り付け技術やサウンドチューニング技術が進歩した。

その中で実は、ひとつのエポックメイキングなカーオーディオシステムが1993年に誕生している。それは、パイオニアの『カロッツェリアX』だ。

カロッツェリアXとは、CDレシーバー、プロセッサー、パワーアンプからなるフルシステムで、革新的な特徴を主には二つ携えていた。

『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。

◆「光デジタル伝送」と「デジタルチューニング」という革新的な特長を有しながらも…

革新的な特徴とは、「音楽信号をパワーアンプまで光デジタル伝送すること」と「音楽信号をデジタル制御すること」、この二つだ。

クルマの中にはノイズ源と成り得るものがさまざまあるので、オーディオ機器間での音楽信号の伝送時にノイズの影響を受けやすい。しかし、「光デジタル」にて伝送すればそのリスクを一気に減らせる。そして、「デジタルチューニング」を行うことで新たなサウンド制御機能が使えるようになっていた。その機能とは、「タイムアライメント」だ。

しかしカロッツェリアXは、登場した当初はあまり注目されなかった。カーオーディオがブームとなって盛り上がる中、ひとり取り残されていたというわけだ。

すぐに受け入れられなかったのはまず、一般的なアナログパワーアンプと組み合わせられなかったからで、そしてさらにデジタルチューニングが毛嫌いされたからだった。

『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。『カロッツェリアX』の機器が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:サウンドウェーブ<茨城県>、2017年撮影)。

◆カーオーディオが普及し、車室内でのステレオイメージの再現性が大幅に向上!

なおカーオーディオとは、スピーカーの発音タイミングを遅らせられる機能だ。クルマの中ではリスニングポジションが左右のいずれかに偏るが、カーオーディオを使うと近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられるので、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状態を擬似的に作り出せる。

ちなみに当機能の登場により、車室内におけるステレオイメージの再現性は格段に向上した。そして、当機能は今や、ハイエンドカーオーディオの世界の中で必須の機能となっている。しかし90年代の終盤に差し掛かる頃まで、当機能への評価は高くはなかったのだ。

だがカロッツェリアXは徐々に市民権を得始める。まず割と早い段階でアナログアンプとも組み合わせられるようになり、愛用者が増え始め、そして1997年に『第1回パイオニアカーサウンドコンテスト』が開催されたことをきっかけに、当機能の凄さの理解が一気に広まっていく。

かくして2000年代に入る頃には、カロッツェリアXはマニア垂涎のハイエンドシステムとしての地歩を固め、他社もデジタル制御技術を取り入れたシステムを次々とリリースし、車室内でのサウンド制御は「デジタル」へとシフトしていく……。

今回は以上だ。次回は2000年代に入ったころのシーンを回顧する。お楽しみに。

《太田祥三》

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