東京の代々木公園をはじめ渋谷・原宿エリアで開催された「INSPIRE TOKYO 2025」(7月10日から13日)にパイオニアが出展。1991年製のフォルクスワーゲン『ゴルフ II』をデモカーとして持ち込んで音楽好きな若年ユーザーにカーオーディオの楽しさをアピールした。
◆都市型イベントINSPIRE TOKYO 2025とは?

INSPIRE TOKYO 2025は「BEST MUSIC & MARKET」とサブキャッチが付けられているだけに、音楽ライブや物販、さらには各種のフードエリアから盆踊りまでが設けられた都市型イベント。代々木公園の会場を中心に原宿、渋谷の広いエリアでさまざまな催しを実施し、音楽好き・フェス好きの来場者を集めるイベントになっている。
そんなINSPIRE TOKYO 2025にパイオニアが出展した。ヤングタイマー(1980年代~2000年代初頭のちょい古のクルマ)がおしゃれな若年層ユーザーに注目されている昨今、オーディオを含めたクルマ文化をあらためて若いユーザーに知ってもらうのがブース出展の狙い。パイオニアブースで担当の森田さんに話を聞いた。
「年式などに関わりなく、自分のファッションやセンスに合わせて好きなクルマを選ぶ若いユーザー層が増えています。彼ら・彼女たちがヤングタイマーと呼ばれる、ちょっと古いクルマを選んでいるのはご存じの通りです。例えば今回展示したゴルフ IIもその一例です。クルマを楽しみ始めた若年ユーザーに、クルマに乗って出かける際にオーディオが大切なことを知ってもらうのが今回の出展の狙いです。“車内で音楽を聴くとこんなに楽しいんだ”を実感してもらうきっかけになればと思っています」
◆パイオニアが提案する“本来の低音”とは

そこでブースの仕掛けとしてはデモカーのゴルフ IIにコンパクトなサブウーファーを搭載、さらに展示スペースにも大型のサブウーファーを設置して重低音をアピールした。
サブウーファーと聞いてブンブンした付加的な低音を想像するユーザーもいるだろうが、パイオニアが提案する低音は“本来音楽にあるべき低音”だ。しかも純正オーディオでは再生できないサブウーファーによる低音は実は音楽の心地良さには非常に大切な部分。低音が充実するだけで音楽は躍動的になり生き生きしてくるのは聴けば誰もが感じ取れることだ。
しかしこれを体感したことの無いユーザーにはピンとこないのも事実だ。そのため、ブースでの低音体験がひとつのきっかけになる出展となった。

ブースに展示されたゴルフ IIにはシート下にコンパクトなサブウーファーであるTS-WX140DAを設置、さらにリアトレーには80年代~90年代にポピュラーだったボックススピーカー(TS-X170)を搭載、低音を充実させることで車内で音楽を聴く環境を大きく進化させたのがこのシステムの狙い。

低音のある音(くどいようだが純正では鳴っていない低音がある)を聴けば、いつも聴いている音楽が一気に魅力的に感じるのがわかるハズだ。

さらに現代的なアレンジとしてディスプレイオーディオ(DMH-SF900)を組み合わせることで、普段使っているスマホを車両にワイヤレス接続してスマホに収録した音楽などをシームレスに利用できる環境を作ったのも現代的なユーザーを見据えてのことだろう。

パイオニアブースには大型サブウーファー(TS-WX1220AH)やフロントスピーカー(TS-C1740S)などのスピーカー類も展示された。またスマホ利用を車内で便利にするディスプレイオーディオ(DMH-SF600)や、また車載Wi-Fiルーター(DCT-WR200)などもアピール。ヤングタイマーきっかけでオーディオに興味を持ったユーザーが、欲しいシステムを物色できるブースになっていたのも興味深い。
◆若者とヤングタイマー文化×オーディオの融合

今回のパイオニアブースでゴルフ II車両展示によるコラボを実施したのがtokyo basic car clubだ。自社のSNS(instagram)を利用して、中古車オーナーと買い手をつなげる無店舗型のカーマッチングサービスをメインに手がける会社であり、tokyo basic car clubの代表である南部さんにヤングタイマーの動向や、若年ユーザーのオーディオとの関わりについて話を聞いた。
「元々自分がクルマが大好きで、SNSを利用してクルマを売りたい人と買いたい人を引き合わせるカーマッチングサービスを始めました。その際にキャラの立ったクルマを扱うことにしたため、今回のゴルフ IIのようなクルマの取り扱いも増え、ヤングタイマーとマッチしていったのです」

「そうすると徐々に従来“シェアカーで十分”と考えていた若者が“クルマを所有”する楽しみを持ち始めていくのが体感できました。そして次の段階ではカスタマイズする楽しみも伝えていきたいんです、その代表がオーディオです」
「80年代~90年代は若者文化にとってクルマは必須で、さらにそこにオーディオは必ず付いていたものでした。それが今回のパイオニアブースのコラボにつながったのです。クルマの楽しみ方、面白さを伝えていく中でオーディオは欠かせない要素だと思っています」

INSPIRE TOKYO 2025ではステージで野外ライブを実施する、そんなイベントに来場するユーザーは当然のごとく音楽面での感度が高い。さらに来場者の年齢層とヤングタイマーに興味を持つユーザー層は重なる部分も多いため、ブースのゴルフ IIは目立つ存在になっていた。
まずはクルマをきっかけに、サブウーファーによる低音に音楽的興味を持ち、カーオーディオの面白さが伝わるという仕組みをしっかり構築したパイオニア、畑違いと思われそうな都市型イベントへの出展でしっかり影響力を放つブースになっていた。