チューニングカーやレーシングカーではさまざまなメーターで多様な数値を確認している。追加メーター取り付けはカスタムの一つであり、クルマを壊さないためや性能を引き出すためにも重要だ。それらは何が必要で、どう判断したらいいのだろうか。
◆水温管理はエンジン保護の基本
多くのクルマには水温計や高水温警告灯が装備されている。これはエンジン冷却水の温度がもっとも重要であるためだ。
水温が高くなりすぎるとエンジンがオーバーヒートし、シリンダーブロックやヘッド自体が歪んでしまうこともある。そうなれば修理は難しく、多額の費用が掛かる。エンジンを分解してヘッドを面研し、まっすぐに加工したり、シリンダーブロックを交換するなどの対応が必要で、中古エンジンに載せ替えることが一般的になる。そうならないためにも水温管理には気をつけておきたい。
具体的には最近のクルマなら90~100度くらいが適温で、20年以上前のクルマだとそこからマイナス10度くらいが適温になる。通常はサーモスタットがあり、適温になるよう設計されていて、水温が上がればラジエーターに水が回り、下がりすぎればサーモスタットが閉じて水温が上がる。この仕組みで常に適温が保たれる。
だが、チューニングでパワーアップして熱量が増えると水温が高くなってしまうことがある。その場合はラジエーターを容量の大きなものに交換するなど対策が必要だ。エンジンがノーマルでもオーバーヒートしないとは限らず、トラブルで水温が上がることもある。ラジエーターの詰まりやウォーターポンプの不調など、不意のトラブルに備えて追加で水温計を備えたい。
純正メーターの水温計は危険な水温になると赤いゾーンや警告灯で知らせるが、110度以下に保ちたいクルマの場合は110度くらいまでは針がほとんど動かないことも多い。これはユーザーが水温の上下に一喜一憂しないようにという自動車メーカー側の配慮だ。できれば追加温度計で細かくチェックし、必要であれば水温対策を施しておきたい。
◆OBD対応や追加センサーの選び方
最近のクルマでは多くの場合、故障診断用のOBDポートに水温データがあり、OBD接続メーターで水温表示が可能だ。配線も簡単なので取り付けは容易である。
ラジエーターホースをカットしアダプターを装着してセンサーを付けるタイプなら、エンジンの出入りで温度が異なるため、センサー取付位置はよく考えておきたい。また、このタイプは水漏れリスクも高まるので注意が必要だ。
エンジンオイルの温度や油圧もできればモニターしたい。エンジンはオイルの潤滑で摩耗を防いでおり、温度と油圧は非常に重要だ。油温がわからなければ適正粘度の判断もできないし、油圧が低くなると潤滑不足でエンジンにダメージを与えてしまう可能性がある。
油温が純正メーターで見られる車種は少ない。トヨタ『86』/スバル『BRZ』はOBDから油温も読めるが、多くは油温センサーの追加が必要だ。オイルフィルター根本にサンドイッチブロックを装着しセンサーを追加するのが一般的で、その際油圧センサーも取り付けて油温と油圧両方を監視できるようにするとよい。
◆油圧管理と追加メーターの進化
油圧が下がるとエンジンにダメージが生じやすい。長時間アイドリングでも油圧低下は起きるし、サーキット走行などでコーナリング中にオイルが片寄り一時的にポンプがオイルを吸えなくなり油圧が下がることもある。
こうした事態にはすみやかに対策したい。特にサーキットではコーナリング中に油圧メーターを見るのは難しいので、油圧低下時に警告を発するシステムを導入するのがオススメだ。
また、オイルを多めに入れたりサーキットだからといって粘度の高いオイルにすると片寄りが起きることもある。油温が適正な120度以下なら純正指定の粘度で十分なので、そういったオイルで循環をスムーズにするのも有効な対策だ。
こうした要素から追加メーターはもしもの時に助かる存在である。なくても困るわけではないが、保険と考えればぜひ取り付けておきたい。最近はオールインワン画面タイプのメーターや、丸型メーターでも新モデルは見やすく、ガラスの反射防止などさまざまな進化が盛り込まれている。