埼玉県秩父市大滝地内の国道140号で7月11日に落石が発生、通行止めが長期間に及ぶため、現在建設中の大滝トンネルが暫定的に供用されている。埼玉県によると、暫定供用期間は7月30日午前10時から約4か月程度の予定だ。
大滝トンネル内は砂利道での暫定供用となるため、通行には制限がある。歩行者、自転車、二輪車(原付以上のバイクを含む)、ミニカーの通行は不可となる。また最徐行(15km/h以下)での通行が求められ、車両間隔の確保も必要だ。バスや大型車の通行は可能だが、特殊車両は除かれる。7月16日午前7時からは緊急車両とスクールバスの通行が可能な状態になっていた。
通行止めの原因となった土砂災害は、7月11日午後10時頃に発生した。最大2.0m×1.2m×2.0mの落石により、舗装の損傷やガードレールの破損、道路擁壁の破損が生じた。人的被害や住家被害は報告されていない。現在の通行止め区間は三峯神社鳥居(大輪バス停付近)から大滝神庭交流広場入口(岡本バス停付近)までとなっている。
秩父市大滝地区の国道140号現道は、急斜面の山裾を切り開いた、荒川上流の谷沿いの道路だ。急カーブが連続し、落石や岩盤崩落など多く発生している。この区間は迂回路のない幹線道路のため、災害時に寸断されると避難や物資輸送に大きな支障となる。大滝トンネル区間は、現道約7kmの危険区間を、約2kmのトンネルでショートカットする。
トンネルは2022年に着工、2024年3月19日に貫通、本体工事は2025年3月に完成した。現在はトンネル内の排水施設や舗装、照明、非常用設備などを工事中だ。整備区間起点は秩父市荒川白久地内、終点は秩父市大滝地内で、延長約2.4km(内トンネル区間2.0km)、幅員10.00mとなっている。関連工事として秩父側で大規模な法面の掘削工事を実施しており、この工事の完成には複数年を要する見込み。