「鈴鹿8耐2025」(2025 FIM世界耐久選手権コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース第46回大会)GPスクエアのスズキブースには、7月上旬に発表されたばかりのネオレトロモデル『GSX-8T』と『GSX-8TT』があり、どちらもまたがることができた。
本邦初公開なのだから、まずはもったいぶって壇上に飾られてもいいものだが、惜しげもなく誰でも触ることができ、シートに座ってステップに足を乗せることが許されていたため、気前が良い。

担当者によれば、およそ1週間前にスズキ浜松工場で組み上げられたばかりの初期ロットで、欧州仕様であるとのこと。発売日はおろか、日本への導入も未定だというのに、大盤振る舞いにも程がある。ここまでしてしまうと、国内発売が確実であることをもはや誰も疑うことはないだろう。
スズキブースの中でも、特に人気のある2台。なんとか近づいて、実車をまじまじと見る。スズキ初のバーエンドミラーや丸目一灯のヘッドライトが採用され、レトロムードを感じさせつつも現代的なスタイルに仕上げられている。いわゆる“ネオクラシック”というカテゴリーに属するニューモデルだ。
◆『GSX-8S』や『GSX-8R』ゆずりの車体構成

排気量776ccの直列2気筒エンジンを高剛性なスチールフレームに搭載。この車体構成は『GSX-8S』や『GSX-8R』から受け継いだものだ。
『GSX-8T』は“Titan”(タイタン)の愛称で知られる1960年代の『T500』のイメージが取り入れられている。当時、2ストロークエンジンを得意としていたスズキのフラッグシップで、最高速181km/hを誇った。振動や冷却などの課題が多く、開発が難しいとされていた大排気量500ccの2ストローク2気筒エンジンを、量産車として世界初採用したことでも知られている。
『GSX-8TT』はヘッドライトカウルやアンダーカウルを採用し、1970年代のロードレーサーをイメージしたデザインにしている。ブラック仕上げのフロントフォークやシュラウド、グレーのシートレールなどを採用し、上質で落ち着いた雰囲気。車名の「TT」は、クラシックバイクを現代によみがえらせるという意味を込め、ベースモデルの『GSX-8T』と「Timeless」を掛け合わせたネーミングだ。
程よく幅のあるアップハンドルで、ゆったりとしつつも若干ながら上半身が前傾気味になるライディングポジション。絞りのキツくないワイドバーによって、堂々とした姿勢になっている。
◆着座位置は若干「後ろ寄り」に

タンク容量は16.5リットルで、『GSX-8S』や『GSX-8R』より2.5リットル多い。燃料タンク容量が増えた影響からだろう、ライダーの着座位置はやや後方になった。わずかに前傾気味なのも、そのためで、ネオクラシックにはよく似合う。
シート高は『GSX-8T』が815mm、『GSX-8TT』は810mm。シートが異なり、TTには滑りにくくフィット性の高い表皮が使われている。身長175cm、体重67kgの筆者がまたがると写真の通り、両車ともシューズのソールがベッタリと地面に接地する。


固定されていて、押し引きができないからわからないが、車体重量も2kg違う。ヘッドライトカウルやアンダーカウルを備えるTTは203kg、Tは201kgだ。
相違点は他に見当たらない。SDMS(スズキドライブモードセレクター)やトラクションコントロール、双方向クイックシフトシステムなど、装備内容も『GSX-8S』や『GSX-8R』からそのまま踏襲している。
◆話題のヨンヒャク新型モタードも!


『DR-Z4SM』にもまたがることができた。大阪&東京モーターサイクルショーで披露されて以来、デュアルパーパスの『DR-Z4S』ともども反響が高いモデルだと、担当者が教えてくれた。
国内での発売日と価格については、まだ明かされていない。ブースにあるのは海外仕様で、シート高は890mm。つま先立ちになるものの、装備重量154kgの軽い車体なら引き起こしたり、取り回しするのに不安はない。
車体を前後に揺すってサスペンションの動きを探ってみると、モタードらしく硬めのセッティングが施されていることがわかる。スリムな車体に、パワフルなDOHC4バルブ単気筒エンジン。走らせるのが楽しみでならない。
◆『GSX-R』40周年記念モデルもあるぞ!

初代『GSX-R750』から40周年の節目に復活を果たした新型『GSX-R1000R』は、「Pearl Vigor Blue / Pearl Tech White」(ブルー)、「Pearl Ignite Yellow / Metallic Mat Stellar Blue」(イエロー)、「Candy Daring Red / Pearl Tech White」(レッド)の3色が展示され、赤にはまたがることができた。
車体の側面やタンク上部に40周年記念グラフィックやエンブレムが施されているのを目の当たりにしつつ、ライポジを確かめる。スーパースポーツらしい攻めの前傾姿勢だ。

しっかりとウインドシールド内に頭部を収めることができる。ストレートでは伏せて、コーナリングでは着座位置をイン側にずらし、アウト側の内腿でタンクの角をホールドするといった一連の動きを車体の上でイメージしてみると、スムーズに身体が動かせるよう作り込まれていることがわかる。
先代も足つき性に優れていたが、新型もやはり良い。前のモデルがデビューした際、スズキが開いたジャーナリスト向け試乗会は、袖ヶ浦サーキット(千葉県袖ケ浦市)にて2017年におこなわれた。あれからもう8年が経つ。新型に乗りたくてウズウズしてくるではないか。
今回、鈴鹿8耐スズキブースにてまたがることができた4つのニューモデル。なるべく早く、乗れる機会を得たいと切に思う!!
