米国のCzinger Vehicles(ジンガー・ビークル)のハイパーカー『21C』が、カリフォルニア州で前人未到の記録を達成した。
5日間で1000マイル(約1600km)の公道を走行し、5つのサーキットで公式に認定された市販車ラップレコードを樹立するという偉業を成し遂げた。
この挑戦の様子を収めたドキュメンタリー「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」は、8月18日にカーメル・バイ・ザ・シーのサンセットセンターで初上映され、公式YouTubeチャンネルでも公開された。
記録更新の旅は、カリフォルニア州北部から南部の砂漠地帯まで、州内で最も象徴的なサーキットを結んで行われた。同社のチーフエンジニア、イワン・バルドリー氏と21Cを開発・製造した8人のエンジニアチームが挑戦を主導した。

旅程は北カリフォルニアから始まり、サンダーヒル、ソノマ・レースウェイ、ラグナセカ、ウィロースプリングス、サーマルクラブの順に南下した。サーキット間では、レッドウッドの谷間、海岸線、砂漠地帯を走破。ゴールデンゲートブリッジやイン・アンド・アウト・バーガー、ボックスキャニオンロードなど、カリフォルニア州の象徴的なランドマークを通過した。
21Cが達成した記録は、すべてレースロジック社のVBOX GNSS システムで検証され、現地で立会いのもと記録された。
サンダーヒル・レースウェイパークでは、1分48秒30(従来記録を3.39秒短縮)。ソノマ・レースウェイでは1分35秒05(従来記録を0.70秒短縮)。ウェザーテック・レースウェイ・ラグナセカでは1分24秒39(自身の記録を0.36秒短縮)。ウィロースプリングス・レースウェイでは1分19秒73(従来記録を1.35秒短縮)。サーマルクラブでは2分3秒17(従来記録を10.33秒短縮)。合計で16.26秒の記録短縮を達成した。

25分間のドキュメンタリーは、イタリア生まれでロサンゼルスを拠点とする映画監督ルカ・ブリンチオッティ氏が手がけた。同氏は没入感のある自動車ストーリーテリングで知られている。
挑戦中、チームは技術的な困難に直面した。サンダーヒルではケーシングにひびが入り、システム全体の分解と一晩での再構築が必要となった。ラグナセカでは、プッシュラップ中にタイヤウォールに接触し、その場での修理が必要となった。しかし、その都度チームは結束し、ミッションを継続した。
2019年に設立されたロサンゼルス拠点の同社は、革新的な独自技術を活用して圧倒的な性能と象徴的なデザインを備えた車両を創造する高性能車ブランド。初の市販車21Cは80台限定で、現在世界各地で顧客への納車が進行中だ。