8月8日から16日にかけてタイで開催された「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2025・30周年記念大会」で、俳優・哀川翔氏が総監督を務めるチーム「e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」が、でT1Gクラス4位を獲得した。
ドライバーの山崎元彰、コ・ドライバーの中田昌美組がトヨタ『ランドクルーザー150プラド・FLEX ラリーSPEC』(140号車)で参戦。パタヤからプラチンブリ、カオヤイを経てパタヤに戻る総距離3250kmのコースを9日間で走破した。
レースは序盤から過酷な展開となった。LEG1,SS1では199.13kmの長距離ステージで、V字型の穴が連続する難コースに苦戦。フロントタイヤの損傷で交換を余儀なくされ、終盤の沼地では燃料切れによりコースエスケープを選択し、10時間のペナルティを受けてクラス5位でフィニッシュした。

LEG2では岩だらけのロックセクションで本領を発揮。山崎・中田組はミスコースなく果敢な走りを見せ、クラストップタイムでフィニッシュしてクラス4位に上昇した。
LEG3では最大の危機が訪れた。後半スタート直後に車両が大きく揺れてアンコントロールとなり、フロント右足回りが走行不能になるトラブルが発生。右ピロボールジョイントの破損やアーム類、ドライブシャフトの損傷が判明し、バンコクでの修理を余儀なくされた。
国境近くを走るLEG4とLEG6は、紛争の余波でコースキャンセルとなり、整備時間が確保できた。SS1と同じルートのLEG5では経験を活かして快調に走行したが、後半にエンジンストールが発生してパワーとスピードが出ない状況ながら、クラス2位のタイムでゴールを果たした。

エンジントラブルの原因究明では、当初は赤土の詰まりと判断したが、最終的に燃焼系の問題と特定。現地調達したプラグ交換により症状が改善し、LEG7を迎えることができた。
LEG7では164.90kmのユーカリ林コースで、前日の雨でマッディな路面となったが、山崎・中田組は2度目のクラストップタイムを記録。LEG8の最終ステージでは湖畔沿いの赤土フラットダート69kmをやや抑えながら走破し、クラス4位のタイムで無事フィニッシュした。
今大会は44台中13台が10時間以上のペナルティを受ける過酷なレースとなり、完全完走を果たしたのは4位までの4台のみ。T1Gクラスの上位は1位がINDONESIA RALLY TEAM、2位がShowa garage racing、3位がgarage monchiとなった。

哀川翔総監督は「完走おめでとう。アジアンラリーは本当に過酷です。今年も色々トラブルがありながらよく頑張ってくれたと思います」とコメント。
山崎元彰選手は「我慢の連続となったAXCR2025でした。前半で心が折れそうになりましたが、気持ちを立て直し、なんとかフィニッシュ。近年、AXCR参加車両や選手のポテンシャルは格段に上がっています。そのなかで勝つために必要なことも見えたラリーでした」と振り返った。
中田昌美選手は「お疲れさまでした! 10年ぶりの参加で正直不安いっぱいでしたが、昔からの仲間や、チームのみなさん、山崎さんに支えられてなんとかフィニッシュすることができました」と感謝を述べた。
次戦は9月5日から7日にかけて開催される「XCRスプリントカップ北海道」第4戦「RALLY HOKKAIDO」(ラリー北海道)に、川畑真人・中谷篤組で参戦予定。2023年以来のクラス優勝を目指す。