CATLが熱暴走後も発火・発煙なしのLFPバッテリー発表、航続758km可能に…IAAモビリティ2025

CATLがIAAモビリティ2025において、新型リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー「Shenxing Pro」を発表
CATLがIAAモビリティ2025において、新型リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー「Shenxing Pro」を発表全 3 枚

中国の電池大手CATLは9月8日、IAAモビリティ2025において、新型リン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー「Shenxing Pro」を発表した。

【画像】CATLの新型バッテリー

同製品は世界で初めて持続的な高電圧供給を実現し、熱暴走後も発火や煙の発生がない革新的なバッテリーとなっている。欧州市場のeモビリティ需要に応えるべく設計され、安全性、寿命、航続距離、超高速充電の各分野で新たな基準を打ち立てている。

欧州におけるEV普及は加速しており、SNEおよびMarkLinesによると、欧州のEV普及率は2025年上半期に23%から26%へ上昇し、年末までには29%に達すると予測されている。国際エネルギー機関(IEA)は、欧州全体のEV販売台数が今年400万台に達し、2024年の320万台から増加すると予測している。

しかし消費者の懸念は根強く残っている。McKinseyが実施した2025年版消費者モビリティ動向調査では、主な障壁として高コスト、バッテリー寿命、航続距離の制限、充電インフラの不足、そしてバッテリーの安全性が指摘されている。

Shenxing Proは2つのバリエーションを提供する。「超長寿命・長航続バッテリー」は世界初のLFPバッテリーとして、WLTP航続距離758kmおよび12年/100万kmという記録的な寿命を実現。初期20万km走行後の劣化率は9%にとどまる。

「超高速充電バッテリー」はわずか10分でWLTP航続距離478kmを充電でき、これは1秒あたり0.8kmに相当する。充電率(SOC)20%の状態でも830kWを発揮し、0-100km/h加速をわずか2.5秒で実現する。極寒環境においても優れた性能を維持し、マイナス20度で20分間の充電により410kmの航続距離を実現する。

両バリエーションとも、CATLが7年にわたり進化させてきた伝播防止(NP)安全技術の頂点に位置する、独自のNP 3.0技術を活用している。世界最高水準の安全性能として認められているNP 3.0は、熱暴走後も1時間以上にわたり高電圧供給を持続し、車両速度を維持することで、ドライバーが冷静に危険区域から車両を移動させることを可能にし、炎や煙の発生を防ぐ。

Shenxing Proには、肩部を高くしたデザインとスペースシェアリング技術を特徴とする、CATLの革新的なWaveセルが採用されている。これにより、従来のように限られた方向にしか適用できなかった冷却システムや固定機構を、世界で初めてあらゆる方向から適用可能にしたバッテリーとなっている。

CATLは欧州での事業運営に110億ユーロ以上を投資し、数千人規模の雇用を創出するとともに、大学や職業訓練機関との提携を通じて現地人材の育成にも貢献している。同社は世界200社以上の自動車メーカーや、1000社を超える欧州のサプライヤーと協力し、最先端のバッテリー技術を電気自動車に共同で統合することで、イノベーションを推進している。

《森脇稔》

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