空冷式か水冷式か、失敗しないオイルクーラー選びの答え~カスタムHOW TO~

空冷式か水冷式か、失敗しないオイルクーラー選びの答え~カスタムHOW TO~
空冷式か水冷式か、失敗しないオイルクーラー選びの答え~カスタムHOW TO~全 1 枚

エンジンを冷やす冷却水(クーラント)はラジエーターで冷やしている。エンジンオイルはそのまま循環しているだけのクルマもあるし、オイルクーラーが装着されているものもある。

そしてアフターパーツとして後付けのオイルクーラーも存在する。そんなオイルクーラーはエンジンを壊さないために必要なのか!?

◆オイルクーラーは必要か、判断の基準(結論)

結論から言えば、エンジンオイルの温度が高くなければオイルクーラーは不要。あってもなくてもいいくらいなら、ない方が良い。だが、そもそもオイルの温度が高いというのが何度を指すのかというところがポイントになる。

一般的にエンジンオイルは90~100度くらいが適温と言われてきたが、2000年代以降は排ガスをクリーン化するために燃焼室の温度を高く設計している。そのため適温と言われる温度も上がっていて、水温は80~90度だった適温が90~100度になった。同じように油温も90~100度だった適温が、100~110度くらいになった。

そのため、そもそも2000年代以降のクルマだと設計されたターゲット油温が高い。100度以上のクルマも多く、110度くらいになっても至って普通ということが多い。その温度で最適なパフォーマンスを発揮できるように設計されているので、それを素人判断で80度にしたらエンジンに優しいかというとそうではない。むしろ悪影響も考えられる。ノーマルエンジンで、マフラー交換やエアクリーナー交換程度のごくごくライトチューンで、街乗りと高速道路などの普段使いオンリーであればオイルクーラーが必要になることはまずない。

◆サーキット走行やチューニング時の油温管理

ところがサーキット走行をするとか、エンジンパワーをアップさせているとなると、油温がぐんぐん上がる可能性がある。サーキットでは連続した高回転多用で熱量が増え、放熱量よりも発生する熱が増えてしまい油温が上昇する。エンジンチューンやターボ車のブーストアップ、タービン交換をした車両もパワーアップ=発熱量が増えるので油温が上がりやすい。そうなるとオイルクーラーの出番となる。

目安としては油温が120度を超えるようならオイルクーラーの装着を検討したい。しかし、120度を超えたからといって絶対にオイルクーラーが必要なわけでもない。エンジンオイルは120度を超えると急速に劣化が進むと言われている。瞬間的に120度を超えてもエンジンが壊れるわけではないが、オイルは確実に劣化する。すなわち、120度を超えたらオイル交換をしたほうが良い。

これは、例えば、日産のR35『GT-R』では明確に温度による交換がマニュアルに定められていて、走行中油温が110度を超えなかったときは1万5000kmまたは1年ごとに交換。走行中油温が110~130度になったときは5000kmで交換。走行中油温が130度を超えたときは走行後すみやかに交換、とされている。

それだけ温度が上がると劣化するのである。そのため油温が110度や120度を超えてもすぐにオイルクーラーが必要ではないが、オイルは早めの交換が必要になるのだ。オイルクーラーによって温度が抑えられれば、サーキット走行をしたり渋滞で油温が上がってもすぐにオイル交換をする必要はない。その分、オイル交換サイクルを伸ばせるのでオイルクーラーによってランニングコスト抑制も可能なのだ。

◆空冷式と水冷式の違いと選び方

オイルクーラーを取り付ける場合には空冷式が主流であるが、水冷式もある。空冷式は走行風を当てることで冷やせるが、ラジエーターやエアコンのコンデンサーへの空気の流れを邪魔することがある。リーズナブルだが設置場所に困ることもある。

水冷式はラジエーターのクーラントで冷やす方式。エンジン始動直後は先にクーラントが温まりやすいので、オイルをむしろ温めてくれる。温度が上がるとオイルを冷やしてくれて水温と油温が安定しやすい。また、走行風を当てる必要がないので設置場所を選ばないメリットもある。しかし、水回りにも手を加えなければならないので、手間とコストがかかりがち。

空冷式にしろ水冷式にせよ、いずれもオイル漏れやクーラント漏れのリスクが高まるのは間違いない。ジョイントやフィッティングが増えるほど漏れる可能性もある。なので、本当にオイルクーラーが必要かをよく吟味してから導入したい。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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