東京都中央区晴海と江東区豊洲を結ぶ「旧晴海鉄道橋」が、春海橋公園の一部として遊歩道に生まれ変わり、9月19日午前9時から供用開始される。歴史的価値を残しつつ、エリアの回遊性向上と新たな観光資源としての活用が期待されている。
東京港の晴海運河にかかる旧晴海鉄道橋は1957年に完成し、1989年まで「臨港鉄道港湾局専用線晴海線」の橋りょうとして32年間にわたり東京港の貨物物流を担った。日本で初めてローゼ橋と連続PC桁を組み合わせた橋りょうとして建設された歴史がある。橋長は190.3m、幅員は3.8m。
遊歩道化にあたっては、歩道部に当時の鉄道レールを活用し、アーチ部を建設当初のライトグリーンに塗装。ウッドデッキを整備するとともに、夜間には橋全体をライトアップし、晴海・豊洲地区の夜景スポットとして新たな魅力を演出する。
旧晴海鉄道橋の場所は、中央区晴海と江東区豊洲との間、晴海通りにかかる春海橋の南側に並行する。運河の両岸にあった工業地域は再開発されて、今は高層住宅が立ち並ぶ。大規模商業施設や、交通連接点の豊洲駅も近い。豊洲エリアにはかつての貨物線の遺構やモニュメントがいくつかあるので、探しながら散策するのもいいだろう。

旧晴海鉄道橋は、東京都専用線の歴史を伝える数少ない遺構として、都市開発の進む湾岸エリアに往時の記憶を残している。東京都専用線は1930年に汐留駅~芝浦駅間で開業し、最盛期には総延長24km余り、取扱貨物量170万トンを誇った。しかし自動車輸送の拡大により需要が減少し、1989年に晴海線が廃止されて使命を終える。旧晴海鉄道橋は、貨物列車が運行されていた期間より長い時間、錆びた構体を運河の上にとどめていたことになる。