加藤製作所は10月8日、全旋回式クローラキャリアの新機種として、積載荷重11tの「IC110R」の販売を開始したと発表した。
同社は2023年に全旋回式クローラキャリア「IC70R」を開発し、低重心・コンパクト・高い安全性という新コンセプトを確立。今回発売する「IC110R」は、このコンセプトを継承・発展させ、最大積載量11tを確保した全旋回式モデルである。
クローラキャリアは、インフラ整備や災害復旧、林業など幅広い現場で活躍する運搬機械。従来は作業効率・安全性・輸送性に課題があったが、同社はこれらの課題解決を目的に開発を進めてきた。
「IC110R」は、クラス最小の車体寸法により、輸送・搬入性を大幅に向上。全長5590mm、全幅2670mm、全高2700mmを実現した。
耐摩耗鋼を使用した高強度・大容量の新型荷台を採用し、積載性能を大幅に強化。積載容量6.1立法m(山積み)・最大積載荷重11tを確保した。
走行モーターに新制御方式を採用し、路面の負荷による変速ショックを限りなく低減。高い走行性能と滑らかな乗り心地を実現している。
タッチパネル式の10.1インチ統合モニタを新採用。エアコン操作機能、カメラ機能を一体化した大型ディスプレイにより、機体状態や積載情報等の表示機能を拡充し、視認性、操作性を向上させた。
右前方の視界性を確保するレイアウト設計により、キャブ(運転席)内から広範囲を直視でき、視認性が大幅に向上。右サイドカメラと後方カメラにより死角を減らし、安全性の高い作業を実現する。
低重心設計による安定性も確保。最低地上高620mmを維持したまま全高2700mmに抑え車体重心を下げ、走行時はもとより旋回全方向での安定度を確保し、転倒事故のリスクを大幅に低減している。
エンジンオーバーラン防止機能や速度制限機能も搭載。下り坂走行時の走行速度を制限し、エンジンオーバーランの発生リスクを大幅に改善することにより、エンジンへの負荷を低減する。
荷台ショック低減制御を新採用し、荷台角度をセンサーで監視、荷台下げ接地時のショックを低減。荷台セーフティピンを新採用し、確実な荷台ロックによりメンテナンス作業時の安全性が向上した。
エンジンルームに大型カバーを採用し、開口部拡大により日常点検・ラジエータ清掃などの整備性が向上。機体上部への昇降用に格納式ステップを新採用し、省スペース化を実現している。
キャブ(運転席)内装レイアウトを一新し、スイッチの前面集約や右側足元スペースを拡大し、居住性を向上させた。
同社は今後も全旋回式クローラキャリアのラインナップ拡充を通じて市場ニーズに応えるとともに、社会インフラを支える製品開発を進めていく。