高電流対応バッテリーシミュレータ発表、300mAから5Aへ大幅アップグレード…英ピカリング

BMSテストを簡素化、高速化する新しい5Aバッテリ・シミュレータ・モジュール
BMSテストを簡素化、高速化する新しい5Aバッテリ・シミュレータ・モジュール全 1 枚

英国の電気テスト・検証機器メーカーのピカリング インターフェースは10月20日、PXIバッテリーシミュレータモジュール製品ラインナップに、コンパクトなシングルスロットフォームファクタの新モデル「41-754」(PXI)と「43-754」(PXIe)を追加すると発表した。

新製品は2チャネルまたは4チャネルのバッテリーシミュレータで、1チャネルあたり最大8V、5Aを供給できる。チャネルは他のチャネル、グランドから完全に絶縁されており、直列接続することでスタックアーキテクチャでのバッテリーシミュレーションが可能だ。

同社のシミュレーションプロダクトマネージャーのStephen Jenkins氏は「今回の5Aバッテリーシミュレータシリーズは従来の300mAシミュレータから大幅にアップグレードされており、BMS(バッテリーマネジメントシステム)の試験を簡素化、高速化する」と述べた。

さらに「最大4つの完全に絶縁したチャネルを備え、低電圧および高電圧スタックにおけるバッテリーセル・モジュールのエミュレーションを実現。高電流出力と正確なリードバック機能をコンパクトな筐体内に収め、EV(電動自動車)や蓄電システムなど要求度の高いアプリケーションに理想的」と語った。

業界標準のPXIフォームファクタを備えているため、モジュラー型テストシステムとシームレスに統合し、柔軟でスケーラブルなオープンアーキテクチャを構築できる。高電圧が必要になったらモジュールを簡単に追加でき、資本コストを最小限に抑え、将来のシステム投資に備えることが可能だ。

バッテリー管理システムの開発者は、このモジュールを使用することにより、セルの不均衡や老朽化、温度の影響などの障害をシミュレートしたり、過充電や短絡などの極端な異常状態を安全に試験したりすることができる。すべてのチャネルはグランドおよび相互間で完全に絶縁されており、1000V(チャネル対グランド)、750V(チャネル間)の絶縁バリアにより、最新のBEV(バッテリー電気自動車)の駆動システムに使われるバッテリースタックを忠実に再現する。

実際のバッテリーを用いて不均衡状態や極端な条件下で試験を実施すると、高電圧や熱暴走のリスクがあるため危険である。ピカリングのバッテリーシミュレータはエネルギーを蓄えずにセルをエミュレーションするため、こうした安全上のリスクを排除でき、高リスクな環境で安全に試験を実施するための代替手段となる。

従来のように実際のバッテリーを充放電させる方式とは異なるため、瞬時に試験条件を切り替えることが可能だ。充放電を待つ必要がないため、試験時間が大幅に短縮され、一貫性と再現性の高い結果を得られる。実際のセルのように経年劣化することがないため、一貫性と再現性のある条件が保たれる。

5Aバッテリーシミュレータは、ソフトウェア開発やセルバランシングのアプリケーションに適しており、デスクトップ環境で低い順応電圧のオープンループ設定することができる。また、これをリアルタイムシステムでのクローズドループアプリケーションにスケールアップすることも可能だ。

エネルギー貯蔵システム(ESS)や再生可能エネルギーの開発者は、家庭用蓄電池のシミュレーション、大規模蓄電設備の検証、コンプライアンスや安全性の評価に5Aバッテリーシミュレータを活用できる。

航空宇宙・防衛分野、電動航空機、ドローン、軍用車両では、安全性が極めて重要なシステムの試験に信頼性の高いバッテリーエミュレーションが求められている。産業機器や電動フォークリフト、鉱山用車両、ロボティクス、船舶用動力などでは、いずれも高出力の産業用バッテリーとBMSを統合した試験ソリューションが必要とされている。

Windows、Linux、リアルタイムOSに対応したドライバを提供しており、他社製品にはない特長となっている。ピカリング インターフェースではすべての製品に対して標準の3年保証と長期製品サポートを実施している。

《森脇稔》

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