旭化成は11月4日、ドイツの電池メーカーEAS Batteries社と、旭化成が開発した超イオン伝導性電解液技術に関するライセンス契約を締結したと発表した。
この技術は、EAS社が新開発したリン酸鉄(LFP)を正極に用いた円筒型超高出力リチウムイオン電池に採用される。この電池は容量22Ahで、従来比約1.6倍の出力を持ち、2秒間の高負荷放電でも安定したパワーを発揮。急速充電・急速放電に対応し、電池内部の抵抗低減により発熱を抑え、エネルギー効率も向上している。販売開始は2026年3月の予定だ。
両社はドイツ連邦教育研究省が支援する「HEADLINE」プロジェクトのもとで共同開発を進めてきた。さらに、この技術の世界的な普及を目指し、自動車メーカーや電池メーカーへのサブライセンスも計画している。船舶、鉄道、建設機械といった過酷な環境での利用により、高い信頼性も期待される。
旭化成は30年以上にわたりリチウムイオン電池の研究開発を続けてきた。2010年から超イオン伝導性電解液の開発に取り組み、2024年6月にはコンセプト実証に成功している。独自の電解液組成調合技術や電極・電解液の界面制御技術により、低温での出力向上と高温の耐久性を両立させている。
旭化成は2025年4月に発表した中期経営計画2027で、特許やノウハウを活用する「TBC(Technology-value Business Creation)」を推進。2025~2027年度に10件以上の新規事業を創出し、2030年までに100億円以上の利益貢献を目指す。




