国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、電測車を用いて全国の主要都市とその周辺地域で測定した電波の強さのデータをウェブ上で公開したと発表した。
同機構は2019年から総務省委託研究として大規模な電波ばく露レベルの長期測定を実施している。今回公開されたデータは、2021年度から2023年度にかけて電測車で測定したもので、走行距離は延べ4万kmを超えた。
測定対象は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡の大都市圏(半径約40km圏内)と、新潟市、金沢市、岡山市、広島市、熊本市、松山市、徳島市、浜松市、静岡市の政令指定都市など(半径約25km圏内)。
公開されたデータは地理情報システム(GIS)データ形式の地図として提供される。携帯電話基地局や放送送信所などから届く電波の強さを1km四方ごとに区切った「基準地域メッシュ」ごとに8段階で色分けして表示している。
電測車の屋根に設置した3軸等方性電界プローブで測定し、約5秒間隔でデータを取得。平均時速は約20kmで走行した。各メッシュの電界強度は、移動中に数秒ごとに取得した測定データをメッシュ内で平均した値を表示している。
メッシュをクリックすると詳細データがポップアップで表示され、その場所の電界強度の値が電波防護指針で定める値に対して何%に相当するかも確認できる。
公的研究機関による中立的な立場からの全国規模での測定は国内初。NICTは今後も測定地域を拡大するとともに、同じ地域を複数回測定することで年度ごとの変化を明らかにしていく予定、としている。




