次世代縦型窒化ガリウム半導体は電力損失50%削減、EVやAI分野向け…オンセミが発表

オンセミの縦型窒化ガリウム(vGaN)パワー半導体
オンセミの縦型窒化ガリウム(vGaN)パワー半導体全 1 枚

半導体大手のオンセミは、縦型窒化ガリウム(vGaN)パワー半導体を発表した。

AIデータセンター、電気自動車、再生可能エネルギーなどエネルギー集約型アプリケーションの電力密度、効率、堅牢性において新たなベンチマークを確立するという。

同社の画期的な次世代GaN-on-GaNパワー半導体は、電流が化合物半導体を垂直方向に流れることで、より高い動作電圧と高速なスイッチング周波数を達成する。これにより AIデータセンター、電気自動車(EV)、再生可能エネルギー、航空宇宙・防衛・セキュリティの各分野において、より小型かつ軽量なシステムを実現し、エネルギー節約に貢献する。

独自のGaN-on-GaN技術により、より高い電圧で電流を垂直に流すことで、より高速なスイッチングとコンパクトな設計を実現。この画期的なソリューションにより、エネルギー損失と発熱を抑制することで、損失を約50%低減することが可能だ。

開発はオンセミのニューヨーク州シラキュースにあるR&Dチーム。基盤となるプロセス、デバイス構造、製造、システムイノベーションに関する130件以上の特許を取得済みだ。

オンセミのvGaN技術は、モノリシックダイ1200ボルト以上の高電圧、大電流をきわめて高い効率でスイッチングできるように設計されている。この技術で構築されたハイエンドパワーシステムは、損失を約50%近く低減することが可能だ。また、高周波数で動作することで、コンデンサーやインダクターなどの受動部品も同様にサイズを小型化することができる。さらに、市販の横型GaNと比較して、vGaNデバイスはサイズが約3分の1となる。

このため、オンセミのvGaNは、電力密度、熱性能、信頼性が最重要となる高電力アプリケーションに最適。AIデータセンターでは AI演算システム向け800V DC-DC コンバーターでの部品点数の削減、電力密度の向上によるラック当たりコストの大幅な改善を実現する。

電気自動車では、より小型・軽量かつ高効率のインバーターによる、EV航続距離の延長が可能になる。充電インフラでは、より高速かつ小型で堅牢性の高い充電器を実現する。

再生可能エネルギーでは、太陽光および風力インバーターの高耐圧化とエネルギー損失の低減を実現。エネルギー貯蔵システム(ESS)では、バッテリーコンバーターおよびマイクログリッドのための高速かつ高効率、高密度の双方向電力供給を可能にする。

産業オートメーションでは、より小型・低発熱・高効率のモータードライブおよびロボティクスを実現。航空宇宙、防衛、セキュリティでは、より高い性能、強化された堅牢性、コンパクトな設計を提供する。

市販されているほとんどのGaNデバイスは、GaN以外の基板(主にシリコンまたはサファイア)上に形成されている。超高電圧向けに、オンセミのvGaNは、電流がチップの表面を横切るのではなく、垂直方向に流れるGaN-on-GaN技術を使用している。

この設計は、より高い電力密度、優れた熱安定性、そして過酷な環境下での強靭な性能を実現する。これらの利点により、vGaNはGaN-on-siliconおよびGaN-on-sapphireデバイスの性能を凌駕し、高電圧性能、高速スイッチング周波数、優れた信頼性、強化された堅牢性を提供する。

これにより、冷却要件を軽減し、システム全体のコストを抑えた、小型、軽量、高効率のパワーシステムの開発が可能になる。現在、700Vおよび1200V の両デバイスについて、サンプルを準備中だ。

《森脇稔》

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