ダイハツと前田建設、移動可能な直流マイクログリッドの実証実験へ…EVも蓄電池として活用

SPHや蓄電池などを集約した移動可能なコンテナ
SPHや蓄電池などを集約した移動可能なコンテナ全 3 枚

ダイハツ工業と前田建設は、2025年12月から2年間、茨城県取手市にある前田建設のイノベーション実装施設「ICI総合センター」で複数施設向けのマイクログリッドシステムの実証実験を開始すると発表した。

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マイクログリッドとは、電力消費地の近くに配置した太陽光発電や蓄電池などを組み合わせ、地域単位で電力を供給・管理する小規模な電力網を指す。本システムは太陽光発電、スマートパワーハブ(SPH)、電気自動車(BEV)、蓄電池等で構成され、平常時は電力ピークカットでCO2排出量削減に寄与し、災害時は系統停電からの電力供給継続を可能にする。

さらに、SPHと蓄電池は同一の20フィートコンテナに収められ、被災地などへの移動が可能。移動型のBEVを蓄電池として活用し、複数建物間の電力融通も実現可能だ。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、再生可能エネルギーの活用とBCP対応の重要性が増す中で両社は2023年から共創を開始し、持続可能なエネルギー供給の実現を目指す。

SPHは太陽光発電や蓄電池、BEVといった直流機器に適した3ポート電力変換器であり、交流主体のシステムと比べて電力変換ロスを約45%削減する。超高速制御により電圧変動や瞬停時にも安定供給を可能にする。実験では「ICI-Camp」の体育館および食堂に太陽光発電電力を供給し、余剰電力を蓄電池やBEV商用軽バンのバッテリに蓄電する。

常時は電力ピークの高い厨房に接続、日の電力消費平準化とCO2削減効果を検証。災害時は停電想定下で体育館への電力供給を継続し避難所利用の安全性を確認する。実験終了後はコンテナをトレーラーで移動させ、現地太陽光発電との接続やBEVを活用した建物間電力融通も検証する予定だ。

今後は自然災害対策として公共施設への導入拡大を図るとともに、工場や医療施設など継続的電力供給が必要な場所でのニーズを踏まえて事業展開を進める。電力インフラとモビリティの融合による地方の暮らしの安全・快適化を目指し、両社は共創を続けていく。

なお、SPHは豊田中央研究所とダイハツの共同開発製品。ZEBはネットゼロエネルギービルディング、ZEHはネットゼロエネルギーハウスの略称だ。

《森脇稔》

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