日立建機と日立インダストリアルプロダクツは、「南アフリカの鉱山現場におけるハイブリッドダンプトラックの実証試験事業」が、国際連合工業開発機関(UNIDO)の「グローバルサウス諸国への日本からの技術移転を通じた産業協力プログラム」に採択されたと発表した。
UNIDOは日本の経済産業省による資金拠出のもと、グローバルサウス諸国における日本企業による大型実証の実施をサポートすることにより、技術革新やサプライチェーンの強化、産業インフラの確立を推進するプログラムを実施している。
鉱山現場では多数の鉱山機械が稼働しており、その多くはディーゼルエンジンを動力源としている。ディーゼル燃料は鉱山操業における主要なコスト要因であり、燃料消費量の削減は長年の課題だ。また、ダンプトラックによるCO2排出は、鉱山で稼働する鉱山機械からの全排出量の50%以上を占める場合が多く、環境負荷の軽減が急務となっている。
こうした課題に対して、本事業では電気駆動式のリジッドダンプトラック「EH4000AC-3」をベースに、実証試験用のハイブリッドダンプトラックを製造する。この実証試験機には、ディーゼルエンジンで発電した電力と回生ブレーキによりバッテリーに蓄えた電力を活用して走行する日立インダストリアルプロダクツ製のACドライブシステムを搭載し、南アフリカの鉱山現場で実証試験を行う。
実証試験機は、既存のEH4000AC-3と比べて燃料消費量とCO2排出量を共に10%以上削減するため、鉱山操業におけるライフサイクルコストの低減と環境負荷の軽減に貢献する。加えて、HVO(水素化処理植物油)を使用することで、CO2排出量は理論上最大90%削減される見込みであり、脱炭素化の取り組みを加速させる技術的な可能性を有している。
実証試験は2025年11月から日立建機常陸那珂臨港工場でのハイブリッドダンプトラックの製造を開始し、2027年7月から12月にかけて南アフリカ共和国リンポポ州の鉱山現場で実施される予定だ。




