イギリスBBC放送の自動車情報番組『トップ・ギア』のインターネットサイトが、ジャパンモビリティショー2025をリポートしている。「オピニオン:2025年東京モーターショーから何を学んだか?」(11月3日付)で“変な”モーターショーを解説する。
記事は、訪日観光客が「『すべてが変だ』と驚いて帰国する様子には、正直うんざりしている」と始まる。西洋的感覚にとって新鮮な衝撃であり、“変な”モビリティショーに驚くだけで表層的な捉え方をしないよう、来場者や読者を戒める。
●『スター・ウォーズ』の脇役たちの同窓会
昔のモーターショーがモビリティソリューションの展示会になり、会場の全域にEV、自律走行ポッド、ロボット、ドロイド、ドローンが並んでいた、とリポートは続く。「まるで『スター・ウォーズ』の脇役たちの同窓会のような光景だった」と、“変”であることは否定しない。
スペースオペラに出てきそうだと言われたのは、トヨタの例だと『challenge me』(ランドクルーザー車椅子)や『CHIBIBO』(カニ歩き式コーヒーテーブル)など。記事は“変だ”と驚くだけではなく、例えば『Kids mobi』について、低学年の小学生が登下校時に交通事故に遭う件数が多い、と開発の背景を説明する。トヨタは車づくりの方針、「Mobility for All」を、最大公約数のモノづくりではなく「あなたにめがけて」と訴求、様々な需要に応じた多彩なモビリティを提案することになった。
そして「漂うのは明らかな反撃の気配」と捉え、日本市場でシェアを狙う新興の中国メーカーに対する、日本メーカーの警戒感を指摘する。これらのモビリティが中国車と競合するわけではないが、新商品の開発に対する積極的な姿勢を評価したのだろう。
マツダ・ビジョン・クロスクーペ(ジャパンモビリティショー2025)
●マツダの約束は何回目?
しかし……。「実際に購入可能な車はほとんどなかった」と、記事は失望を隠さない。トヨタ『カローラ』コンセプト、レクサス『LS』6輪ミニバン・コンセプト、『LSクーペ』コンセプトを例にあげ、「どれも想像力豊かで刺激的な創造物だが」、購入できないのだ。マツダのロータリーエンジン復活は「何億回目かの約束」と皮肉っているが、熱望の裏返しでもある。
●新センチュリー vs ロールスロイス
トヨタは、センチュリーをトヨタグループの最高級ブランドとして再定義することをジャパンモビリティショー2025でアピールした。『トップ・ギア』の本国イギリスには、世界的にも超高級ブランドのロールスロイスがある。センチュリーの『クーペ』コンセプトには「圧倒的な存在感」があったものの、「ロールスロイスの脅威となるような詳細な情報は乏しかった」と、する。
センチュリー・クーペ(ジャパンモビリティショー2025)●K-OPENが欲しい
一般消費者に提供可能な提案で記事が注目したのは、ホンダの小型スポーティEV、『スーパーN』だった。『スーパーワン』のイギリス向けの車名で、仕向地によって車名が変わることから想像できるように、2026年から日本を皮切りに発売が予定されている。スーパーワンに続いてマツダ『クロスコンパクト』とダイハツ『K-OPEN』を引き合いに出して、これらは日本のメーカーが小型で安価な車を作り続ける意思だとした。K-OPEN(の量産仕様)の輸出を望んでいるのは『トップ・ギア』らしい。
記事はジャパンモビリティショー2025での展示を見て、「人々が『買いたい』と思うクールな車を作る必要性を、多くのメーカーが真剣に認識している」と分析している。そして「必要なのは量産モデルだ」と指摘した。「先鋭的で大胆なものを実際に作り上げれば、日本が自動車業界最強の影響力を持つ存在としての地位を取り戻す」としている。




