TOYO TIRES TREADPASSが描く、カスタムカルチャーの現在地…SEMA SHOW 2025

TOYO TIRES TREADPASS…SEMA SHOW 2025
TOYO TIRES TREADPASS…SEMA SHOW 2025全 23 枚

SEMAはすごい、クルマ好きなら一度は訪れてみたい、日本のカーショーとはスケールが違う…北米で開催されるカスタムカーイベント「SEMA SHOW」について、ずっとこんな声を耳にしていた。いつか私もこの目で見てみたい、自分の五感すべてでそのショーを楽しんでみたい。その願いが叶って、足を運んだ「SEMA SHOW 2025」そこで出会った人達、目にしたクルマ、脳裏に焼きついたシーンを振り返る。

【画像全23枚】

◆世界中のカスタムトレンドが集う「灼熱のラスベガス」

SEMA SHOW 2025SEMA SHOW 2025

SEMA SHOWは、毎年11月初旬頃にアメリカ・ネバダ州にあるラスベガス・コンベンションセンターで開催される。今年で62回目の開催となり、世界のカスタムカー・トレンドの発信源として知られている、長い歴史を持つイベントだ。様々なカスタムカテゴリーがあり、アメリカらしいワイルドでビッグなものから、「JDM」と呼ばれる日本仕様に近づけたカスタマイズまで、ありとあらゆるスタイルのクルマが集う。今年も16万人以上の人が訪れ、広大な会場をクルマ好きの熱気が埋め尽くしていた。

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中でも毎年見逃せないスポットとして人気なのが、「TOYO TIRES TREADPASS」(トーヨータイヤ トレッドパス)と呼ばれる場所。中央ホールと南ホールをつなぐ通路に、毎年数十台のカスタムカーがずらりと並び、初日から最終日まで数えきれないほどの人が出入りする。今年は28台もの世界初披露のクルマがお目見えし、スポットライトとフラッシュの光をひっきりなしに浴びていた。

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どのクルマも印象的ではあったものの、Bisimoto Engineeringが仕上げたフォード『ブロンコ』(1988Y)は、圧倒的な存在感で群衆の視線を奪っていた。ツインターボ仕様の550馬力、オフロード仕様の足回りを備えた姿は、まるで砂漠を走る野獣のようだった。

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一方で、S Klubが手掛けたのは、メルセデスAMG『S63』(2024Y)/メルセデスベンツ『600』(1971Y)が融合したド迫力の1台。「FINAL BOSS」と名付けられたワンアンドオンリーのそれは、1,000馬力という威力を併せ持つ。

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マッスル、オフロード、クラシック、そしてスーパーカー。スタイルも世代も国も異なるマシンが、ビルダーの“理想”を描いたキャンバスとなり、そこに飾られていた。だからこの通路は足を踏み入れた瞬間に、ただの展示エリアではなく、創造と挑戦が響き合う「アートストリート」のように感じられたのだと思う。

◆トレッドパスが生む「世界初披露」の瞬間

トーヨータイヤUSA Stan Chen (スタン・チェン) 氏トーヨータイヤUSA Stan Chen (スタン・チェン) 氏

今回で12回目となるトレッドパス開催を統括している、トーヨータイヤUSAのStan Chen (スタン・チェン) 氏に話を聞く機会に恵まれた。

「ここに置くクルマにまず共通しているのは、この場所で初めてワールドデビューを果たす車両であること。訪れる人が今年はどんなかっこいいクルマが見られるんだろうとワクワクしながらやってくる、そんな場所をつくりたいと思っています。幸いなことに、今年も初日の9時オープンの前から皆さんが並んで待っていて、バリケードが外れるやいなや、感嘆の声とともにあちこちで一斉に写真を撮り始める姿を見ることができました。ビルダー達が精魂込めてつくったクルマを、来た人が実際に見て、自分はこれが好きだ!と感じられる。そんな空間を提供したいと願っています」

訪れる人々の顔を実際に見て、チェン氏の言葉は一瞬で裏打ちされた。皆、キラキラと輝いた目でクルマに近づき、ビルダーに声を掛け、一緒に写真を撮ったり、録画したり、クルマの細部まで目を凝らしたり。30度近い外気温がさらに倍の温度に感じられるほどの興奮した熱気が、あたり一面を覆っていた。

◆有名ビルダーだけでなく、名もなきビルダーたちの才能が光を浴びる場所

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トレッドパスに展示する特権は、もともと名の知れた有名なビルダーだけに与えられる場所ではない。むしろ世界に埋もれている、まだ知られざる才能と情熱の結晶が日の目を見る場所になっている。それはまるで、カスタムカーのタレントショー*のようだと思った。(*アメリカの学校でよく行われている、歌やダンスなど個人の得意な分野での才能を披露するイベント)

「そうそう、まさにクルマ界のタレントショーと言っていいですね。フォロワーもほとんどいなくて、まだあまり世間に知られていなかったのに、トレッドパスに展示したことがきっかけで爆発的にその名を知られるようになったビルダーもたくさんいます。そのためにも、ひとつのカスタムカテゴリーに限定せずに、様々なスタイルのクルマを選りすぐっています」

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「クルマを選出する時、特に応募開始のアナウンスなどは一切しないのですが、毎年多くのビルダー達が、ぜひトレッドパスにクルマを置きたいと申し出てくれます。それもありがたいことですね。ほとんどはアメリカ国内からですが、日本からも数台出展してくれています。高い輸送コストをかけてでもここに展示したいと思っていただけていること、それもこのトレッドパスの魅力を物語っていると思います」と語るチェン氏の言葉に深く頷いた。

チェン氏は、自身も2000年代の初めにカスタムを手掛けるカーショップを開いていたそうだ。彼自身の好みは、80年代、90年代の欧州車をエレガントスポーツに仕上げるスタイル。彼のBMW E30 M3を含む愛車は、過去のトレッドパスで展示されたこともあるという。そんな彼だからこそ、ものづくりに掛けるビルダーの想いや、クルマを愛する人々の本気の眼差しが痛いほどわかるのだろう。

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チェン氏のインタビューを終えたあと、もう一度トレッドパスを歩いてみた。そこにあるのは“完成した姿”ではなく、ビルダーたちが自分の限界を少しだけ超えて、「次の物語」を描き始める場所だと思う。ここで生まれた新しいカスタムが、電波に乗ってやがて世界のいろいろな場所へと届き、見る人の心を動かしていく。SEMAを象徴するこの一本道は、毎年違う顔を見せながら、“クルマが好き!”という世界共通の鼓動と青を刻んでいる。来年もまた、自分の足でこの通路を歩きたい。

《取材協力 トーヨータイヤ》

《上之園 真以》

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