ヤマハ発動機、森林保全とカーボンクレジット創出の共同事業を開始…長崎県五島市で

「五島つながるカーボンクレジット」事業に関する協定の調印式
「五島つながるカーボンクレジット」事業に関する協定の調印式全 2 枚

ヤマハ発動機は11月21日、長崎県五島市における吸収系ボランタリーカーボンクレジット(JVC)の創出と、森林事業者育成を含めた地域循環型ビジネスの実装を目指す共同事業「五島つながるカーボンクレジット(つなクレ)」事業を実施すると発表した。

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ヤマハ発動機を含む民間4者と五島市は本事業に関する協定を締結した。この事業は、ヤマハ発動機のほか、アイフォレスト、杣林(そまりん)、みつめる旅の4者で実施する。

つなクレは、長崎県五島市・久賀島の未施業市有林約815haを対象に、森林保全と人材育成事業による地域経済循環を同時に実現しながら、ボランタリークレジットを創出する取り組みだ。このボランタリークレジットは、国立大学法人九州大学都市研究センターが率いる一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)により、CO2吸収量および生物多様性の計測・評価を含み、国際的整合性を確保した基準による認証を受けて発行される予定だ。

また、そのクレジット販売資金の一部を原資として、五島の森林管理企業による人材育成事業や森林コミュニティ活動を行い、地域の森林課題についてセクターを超えて関わりあう「森林関係人口」を創出していく。

これらの活動を通じて、自然資本を活かした地域循環型ビジネスの構築と、脱炭素・地域創生の両立を目指す。

事業内容のスキーム事業内容のスキーム

事業内容は4つの柱で構成される。1つ目は「測る」。産業用無人ヘリコプターによるレーザー計測と衛星データ、生物多様性評価による精密調査だ。ヤマハ発動機によるレーザー計測と、iforestによる生物多様性調査により、市有林の現状を可視化する。

2つ目は「整える」。10年スパンでの市有林整備と人材育成だ。五島市の地元に根ざした杣林が、段階的かつ低環境負荷の森林整備を担う。地元人材雇用・育成や山林を活用し、林業を学びたい島外の人への体験事業も行う。

3つ目は「活かす」。ボランタリークレジット化による収益化だ。調査・森林整備で創出されたCO2吸収量をもとに、ボランタリークレジットを発行し、企業などへ販売。収益を五島市と地域へ還元する。

4つ目は「伝える」。関係人口づくりと都市部への発信だ。森林施業を見える化し、都市部企業や関係人口と接続。PR・CSR活動・教育研修などを通じて、森の未来に共感する共創関係を築く。

ヤマハ発動機は、自然の恵みに支えられて多くの事業活動を展開しており、2050年にカーボンニュートラルを目指す「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」を策定している。この計画における重点取り組み分野の一つである生物多様性保全に関する取り組みとして、同社の技術や知見を活用し、ネイチャーポジティブおよびカーボンニュートラル推進に貢献することを目指している。その中で、高度なレーザー計測・解析技術を用いた森林デジタル化サービス「RINTO(リント)」で、「カーボンクレジット」「森林保全」「林業DX」に資するサービスを提供している。

《森脇稔》

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