マレリ、ハイブリッド・EV向け新型エネルギー管理システム発表…航続と電池寿命を延ばす

マレリがハイブリッド・EV向け新型エネルギー管理システム発表
マレリがハイブリッド・EV向け新型エネルギー管理システム発表全 2 枚

マレリは12月3日、ドイツ・ベルリンで開催されたCTIヨーロッパ2025において、ハイブリッドおよびEV車両向けの新たなインテリジェント・エネルギー・マネジメント・ソリューションを発表した。

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このシステムはモジュラー式で、独自のソフトウェアを基盤としており、車両やゾーン制御ユニット、熱関連部品と統合することが可能。このソリューションにより、車両の三大エネルギー領域(熱、推進、電子機器)をシームレスに連携することができる。

車両のエネルギー最適化に対するこの包括的なアプローチは、すべての車両システムの効率を最大化し、バッテリー航続距離の向上、高速充電の最適化、バッテリー寿命の改善を実現するだけでなく、優れたキャビン快適性と運用信頼性も維持する。

マレリの新しいインテリジェント・エネルギー・マネジメント・システムは、ハイブリッドおよび電動推進ソリューション、さらにソフトウェア定義車両(SDV)技術の進化を目指している。

このシステムは、先進的なデジタル・ツイン手法や革新的なソフトウェア戦略を統合して開発された。これらのアプローチにより、開発期間とコストが大幅に削減されるだけでなく、顧客との強固で柔軟な協力モデルも実現可能となる。

熱領域に関しては、このシステムが熱の流れを管理・最適化し、車両内の加熱・冷却プロセスを精密に制御する。独立したソフトウェア・アルゴリズムが複雑な熱システムを知的に管理し、温度を調整することで全体的な性能を最適化し、バッテリー寿命を延ばす。

これらの高度な戦略によってエネルギー・ロスが削減され、余剰な熱エネルギーの効果的な再利用が促進されるため、運用コストの低減と持続可能性の向上が実現する。

電動・ハイブリッド推進に関しては、インテリジェント・エネルギー・マネジメント・システムが常時電力供給を監視・調整し、エネルギーの分配を最適化する。これによりバッテリー効率と車両性能が最大化される。

エネルギー回収と分配のバランスを効果的に行うことで、走行可能距離が延び、車両全体の耐久性が向上し、次世代電動車両のニーズにも対応する。

電子機器領域に関しては、このソリューションが車両システムの知能性と統合性を強化し、すべてのコンポーネントやシステム間のシームレスなコミュニケーションを促進する。CANからイーサネットまでの堅牢な通信プロトコルを通じてデータ交換を行い、センサーやアクチュエータを直接管理することが可能だ。

これにより、スムーズな動作、高いシステム応答性、進化する車両環境への柔軟な適応が保証される。

デジタル・ツイン・アプリケーションにより、電子機器、電気機械、熱力学、油圧など、すべての車両サブシステムを精密に仮想モデル化することが可能となる。

完全に仮想化された自動車モデルを作成することで、自動車メーカーは開発の反復を迅速に行い、より効率的にテストを実施でき、高度な車両をより早く、より自信を持って市場に投入することができる。

新しいインテリジェント・エネルギー・マネジメント技術は、マレリのソフトウェア開発力を活かして、俊敏なカスタマイズや迅速なソリューション展開を顧客のニーズに合わせて実現する。

システム・アーキテクチャの合理化と部品点数の最小化により、競争力のあるコストでシンプルなシステムと早期市場投入を可能にし、さらに開発・テストコストを削減する。

マレリはこの新技術の一部を、12月2日・3日にベルリンで開催されたCTIシンポジウムで紹介した。基調講演「デジタル・ツイン手法のxEV向け熱マネジメント・システム開発への応用」において、マレリのプロパルション事業部のR&Dイノベーションマネージャー、マッテオ・デ・チェザーレが、車両電動化の文脈における熱システムの革新的な設計・仮想開発手法、その成果やパフォーマンスKPIについて専門的な見解を披露している。

《森脇稔》

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