ダイコーは12月11日、RFIDタグメーカーのテンタックと共同で、新製品「RFIDカーリフト」を開発・発表した。
本製品は、車両に搭載したRFIDタグをカーリフトの乗り場に設置されたRFIDリーダーが自動検知し、登録車両を識別する。呼びボタンの操作を不要とし、待ち時間・操作時間を大幅に削減する。12月11日の「National RFID day」に合わせて「#押さないエレベーターシリーズ」第2弾として発表された。
近年、アパレル分野ではユニクロなどの無人レジ導入により、RFID技術が一般にも広く認知されつつある。長距離読み取り・高速検知といった特性を活かし、物流や昇降機分野でも実用レベルの性能に達した。カーリフト市場では、マンション開発や倉庫内車両収納、高級駐車場などにおいて「操作を簡略化し、待機時間を減らしたい」というニーズが高まっている。
従来のカーリフトでは、利用者が降車・操作してリフトを呼び出す必要があり、操作時間と待ち時間が発生していた。それを解消するためにカメラによる認識方式が一般的に利用されているが、一部では読み取り精度・偽造リスク・天候影響により読み込みが安定しないという課題があった。
新製品「RFIDカーリフト」は、従来のカーリフト機能にRFID技術を組み合わせ、よりスマートで快適な乗降体験を実現したモデルだ。
RFIDは、無線周波数識別の略で、ICチップとアンテナを内蔵した「RFタグ(ICタグ)」をモノに取り付け、電波を使って非接触で情報を読み書き・識別する自動認識技術である。RFIDはIoTを実現する上で不可欠な「識別・認証技術」であり、本製品はRFIDを活用したIoTシステム応用の一例といえる。
入出庫の自動化と効率化では、車両がカーリフトに近づくだけでカーリフトに搭載されたImpinj R700 RAIN RFIDリーダーが自動的に車両のRFIDタグを読み取り、登録情報に基づいた適切な階へ自動搬送する。これにより手動操作が不要となり、入出庫時間を短縮することで、ユーザーの満足度向上に貢献する。さらに、RFIDタグはバッテリー不要であるため、リモコンのようにいざという時の電池切れの心配がなく、常にスムーズな車両搬送を体感できる。
正確な読み込みでは、業界最高峰の性能を誇る「高い受信感度を持つリーダーとタグ」を利用することで、周辺環境に左右されない極めて高い精度での車両識別が可能となった。また、タグは国内シェアNo.1の実績から、顧客の環境(例:屋内外・駐車スペース)に合わせた最適なタグ選定が可能である。
セキュリティの強化では、登録車両のみを認識・搬送するため、不正な侵入を防ぎ、高いセキュリティ環境を提供する。これは、RFIDタグが持つTID(タグID)によって実現される。TIDは、一つひとつのタグに固有の番号として割り当てられており、そのユニーク性が厳重に担保されている。
リアルタイムな車両管理では、RFIDシステムを使用する事により、各車両の入出庫履歴などをリアルタイムで管理できる。これにより、アナログな運用が不要となり、記録に限度なく正確な情報を把握し、効率的な運用を可能にする。また、登録車両が変更になった場合でも、管理者による情報の書き換えを容易に行うことができる。
12月11日の「National RFID day」に合わせ、新製品の販売を開始した。本製品を用いて、待ち時間を課題とする駐車施設(特にマンションやオフィスビル、月極駐車など、特定の車両が利用する駐車施設)を中心に運用効率の向上を目指している。また、厳格なセキュリティ対策が求められる建物や施設での活用においては、その価値を最大限に発揮する。RFIDの技術を活用することで、複数の車両を管理する自動車ディーラーや駐車場運営など、幅広い分野での応用が可能となる。




