色の専門家ではないので詳しい説明はできないが、試乗車はビタミンカラーと言われる黄色も鮮やかな「GT HYBRID」。モデルそのものはこの10月に『208』に追加設定された新グレードである。
色の話をもう少し続けると、初期モデルにあったカラシ色(=ファロイエロー)も味わい深かったが、実車で見るこのクッキリとヴィヴィッドなアゲダイエロー(2024年10月に登場した新色)も、小気味よいスタイルの208によく似合う。何より眺めているだけまさしく元気が湧く栄養ドリンクのような(!?)色だ。
◆初代『205GTI』を受け継いだデザイン
プジョー208 GT HYBRID
フェイスリフト後の現行モデルは、グリル内のパターンがボディのサーフェスに沿って流れるように並ぶデザインになっているが、よく見ればパターンのひとつひとつのサイズ、ピッチ、角度を可変させながら並べ、単なる冷たい幾何学パターンではなく、表情豊かなところがいい。
また改めてスタイルを眺めると、リアタイヤの上にしっかり乗った、リアウインドを斜辺とした三角形状のCピラー、前後のブラックのホイールアーチなど、このクルマのいわばルーツの初代『205GTI』のデザイン要素が受け継がれて(再現されて)いることがわかる。
プジョー208 GT HYBRID◆ハイブリッド搭載でより際立つ俊敏なハンドリング
もちろんこのクルマの注目のポイントは、208にとって新しいパワートレインである1.2リットル直列3気筒ガソリンターボと、電気モーター内蔵6速デュアルクラッチ式トランスミッションを組み合わせた48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載された点。システム合計出力は110ps、WLTCモードで22.4km/リットルの燃費というものだ。
実際の走りは、1230kgの軽量コンパクトなボディということもあり、きわめて軽快かつスムースなものが実現されていた。とりわけ約30km/hまでであればモーター走行を可能とすることでスムースさが際立つ。
プジョー208 GT HYBRIDさらにそこから加速を続けるとブルッと小さな手応えとともにエンジンが入るのがわかり、ストレスなく……というよりも頼もしい加速が得られる。加減速は意のままに行なえ、折々のマナーも十分に洗練された印象をもつ。
ハイブリッドという心強いパワートレインを得たことで、208らしい俊敏なハンドリングもより一層際立つ印象をもつ。
プジョー208 GT HYBRID■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。




