住友ゴム工業は12月17日、使用済みタイヤなどをケミカルリサイクルして製造する資源循環型カーボンブラックを、一部乗用車向け量産タイヤに初めて採用したと発表した。すでに宮崎工場で生産を開始し、資源循環の取り組みを加速する。
資源循環型カーボンブラックは、タイヤ製造工程で発生するゴム片や使用済みタイヤをケミカルリサイクルすることで製造される。2025年1月から三菱ケミカルと協業で取り組みを進めてきた。
8月には「2025 AUTOBACS SUPER GT」第4戦のGT300クラスに、本原材料を採用したレース用タイヤを実戦投入し、装着車両が2日連続優勝を果たした。最新の車両が投入されるタイヤ開発の最前線にあたるモータースポーツ分野において、終始安定した性能を発揮した。
資源循環型カーボンブラックの量産タイヤへの採用は、タイヤ事業における循環型ビジネス構想「TOWANOWA(トワノワ)」を具現化する取り組みの一環だ。TOWANOWAはバリューチェーン上の5つのプロセスからなる「サステナブルリング」と各プロセスから収集したビッグデータを連携させる「データリング」で構成されている。
住友ゴムと三菱ケミカルは、両社の協業体制のもと、タイヤの主原料であるカーボンブラックにおける資源循環の取り組みを進めている。住友ゴムは、タイヤ製造工程で発生するゴム片や使用済みタイヤの粉砕処理品(再生材料)を三菱ケミカルに供給する。三菱ケミカルは、それらをコークス炉に投入してケミカルリサイクルすることで、資源循環型カーボンブラックを製造する。
現状、燃焼され熱源として再利用されているゴム片や使用済みタイヤを、資源として再利用するシステムを構築することで、CO2排出量を削減することが期待できる。
今後も同社は、TOWANOWAの実現を通じて、環境負荷低減、タイヤの高性能化および安全性向上、ソリューションサービスの拡大に取り組む。これらの活動を通じて、顧客に新たな価値を提供するとともに、持続可能な未来とモビリティ社会の実現に貢献していく。




