よくある“ヨーロッパ車っぽさ”にとどまらない、ひと味違う上質なフィーリング
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』
良いとか悪いとかではないが、日本車の中にもヨーロッパ車的なテイストのクルマがある。この場合は走りの味付けで、動かしているとそう感じるという意味だ。デザインのテイストで言えば、ヨーロッパのマーケットを意識すれば自然とそうなる。今だったらAIにそんなオーダーをすれば可能だろう。既存のデザインをベースにディテールを変えるだけで、彼らが好みそうなデザインが仕上がるに違いない。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』走りに関しては、意図する場合と意図せずそうなる場合があると思う。ここ10年あまり、ボディ剛性が高められサスペンションのセッティングをソフトにすることでそんな傾向は強くなった。特にスポーティなモデルに関してはそう。強烈に足を固める必要がなくなり、動きの幅が広がったことでヨーロッパ車的なテイストを感じられるようになった。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』今回ステアリングを握った日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』は、いい意味でヨーロッパ車的な1台だ。軽快なハンドリングと自然な足さばき、フラットなキャビンをつかさどるソフトなサスペンションのセッティングはまさにそれである。しかしこのクルマの走りには、ひとつ上のクラスに値する高級感とスポーティさが同居する。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』そもそもAUTECHは、そんな味付けを得意とするクルマ好きの集団により手掛けられている。以前、マイナーチェンジ前のエクストレイルAUTECHをドライブしたときもそうだった。ベースとなるエクストレイルの素性が良いことを理解した上で、AUTECHはそれをよりスポーティかつ高級感を得るように仕上げていた。当時撮影を兼ねて遠出したが、ドライバーを疲れさせなかったのを覚えている。
プレミアムスポーティの完成形、次世代の魅力を纏う「SPORTS SPEC」
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』そんなエクストレイルのAUTECHモデルが今回さらに進化した。ベース車両のマイナーチェンジに伴い、エクストレイルAUTECHには、新たに走行性能まで手が入ったモデルが追加されたのである。モデル名はAUTECH SPORTS SPEC。ネーミングからもわかるように、より上質かつスポーティな走りを強調したバージョンで、SPORTS SPECはセレナ、ノートオーラに続く3台目の登場となる。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』動的性能に関する装備の内容は、VCMコンピューターのチューニング、e-4ORCEの制御、車速感応式パワステ、専用チューニングのサスペンション、ダークグラファイトフィニッシュの20インチ専用アルミホイール&ミシュランPRIMACY 4、そしてパフォーマンスダンパーなどが挙げられる。得意分野で勝負しているのは当然のこと。これまで手がけてきた歴代モデルの魅力をそのままに、より精緻さに磨きをかけている。
上品で繊細なAUTECHが息づくデザインに感動せよ
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』もちろんエクステリアもインテリアもAUTECHらしさ満載。メタル調フィニッシュのフロント/サイド/リアバンパーに、海面の煌めきを想像させるフロントグリル、航跡波の模様が浮かび上がるシグネチャーLEDなど、遠くからでもハッキリとわかるアイコンが目を惹く。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』インテリアではAUTECHの刺繍とブルーステッチのブラックレザーシートやステアリング、ドアトリムがアイデンティティとなる。ブルーの使い方は繊細でセンスが良い。エクステリアともども高級感を醸し出す。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』さて、そのエクストレイル AUTECH SPORTS SPECでワンデードライブした感想だが、相変わらず強い存在感を発揮した。都心でも郊外でも周りに負けない強いオーラを感じさせる。他の日本車とは一線を画す何かがあるようだ。ディープオーシャンブルーと呼ばれるパールのボディカラーはオンリーワンである。
“クルマ好きがクルマ好きのためにつくった”AUTECHの奥深い世界観に触れる
モータージャーナリスト 九島 辰也氏そんなことを感じながら走ると、まずは乗り心地の良さが前面に出てくる。路面からの入力をバネ下で収めているといった感覚で、キャビンは常にフラットに保たれる。よって、ドライバーの身体が揺さぶられることがないのが特徴だ。ロングドライブで疲れないのはこれに起因するだろう。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』それにはパフォーマンスダンパーが活躍しているように思える。ボディ剛性を高めるのは当然のこと、入力に対する対応もするシステムだ。よって単純に固くするのではなく、エネルギーの吸収を行ってくれる。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』しかも、高速道路に乗ってレーンチェンジをしたり、ワインディングを走ればわかるが、スピードが上がってもフラット感はそのまま。ここではサスペンションのダンパーがしっかり効いてクルマの姿勢をキープする。コーナー出口でちゃんとアクセルを踏めるから、コーナリングが楽しくなるのは言わずもがな。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』クルマ好きにも納得の走りが生まれる。この感覚をヨーロッパ車で例えるならフランス車寄りのドイツ車といったところだろうか。「クルマ好きがクルマ好きのためにつくった」フィーリングが再現される。
以上が今年マイナーチェンジしたエクストレイルに新たに設定されたAUTECHのスポーティグレード、AUTECH SPORTS SPECの第一印象。そもそも好きなAUTECHだけにその進化に興味があったが、今回も感心させられた。改善のベクトルにブレはなく、キレイに正常進化している。素晴らしい。
日産『エクストレイル AUTECH SPORTS SPEC』このクルマに関してもったいないことをひとつ挙げるとしたらメジャーではないことだ。もっと多くの人にAUTECHの味付けを知ってもらいたい。特にヨーロッパ車を足にしているようなクルマ好きの方に体験してもらえるといい。フラットにジャッジすれば、ここで記述したような感想が彼らの口から発せられるだろう。いずれにせよ、仕上がりは上々。SUVでも走りを諦めたくないカーガイのためのクルマであることは間違いない。
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モータージャーナリスト 九島 辰也氏九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。




