『ドーディチチリンドリ』、『F80』、『849テスタロッサ』と2024年くらいから活発になっているフェラーリ。サーキット走行を前提に開発されたハイパワーなモデルが目立っている。とはいえ、それよりもユーザーフレンドリーなラインナップも用意する。
今回ステアリングを握った『アマルフィ』がそれで、『ローマ』の後継として登場した。パッケージングはサーキット走行というよりグランドツーリング傾向の強い2+2のFRとなる。
そのアマルフィをテストドライブしてきた。場所はポルトガルのファロ。海沿いのリゾートホテルを起点に、街中、ワインディング、高速道路を駆けた。
◆フェラーリの新機軸になるかも
フェラーリ アマルフィ
アマルフィの特徴はそのデザインにある。ローマ同様「La Nuova Dolce Vita(新甘い生活)」をコンセプトに仕上げている。妖艶なフォルムがそんな感じだ。フラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリスタイリングセンターの傑作である。7月にマラネッロの発表会が初見だったが、今回屋外で見た印象はそれとは違った。訴求色「ヴェルデ・コスティエラ」の鮮やかな色彩と共に、他のクルマにはない存在感を醸し出している。
では、走った印象だが、取り扱いはそれほど気を使わなくていい。というのも、目線はそれほど低くなく車両感覚は掴みやすい。きっとタイヤの位置を意識しやすいのだと思う。それとフロントのリフターの反応がいいので、バンプなどの段差にも即座に対応できる。これは駐車場のスロープにも使えるはずだ。
フェラーリ アマルフィドライビングフィールはマネッティーノのモードで大きく異なる。“コルサ”にすればフェラーリのV8サウンドが響き渡りドライバーを刺激する。3500回転からの変調はさすがだ。それと低回転域でターボラグがないのは感動的。タービン自体を軽量化することで反応が良くなり、低い回転でアクセルに足を乗せれば瞬時に加速する。この辺のレーシーなフィーリングはさすがフェラーリと言っていい。電動パワステもそれに連動し、クイックレスポンスを体感させてくれる。
これに対し、通常走行で使われる“コンフォート”モードは自然なフィーリングで肩のチカラを落としてドライビングできる。アクセルはシビアでなくなり、パワステにも遊びが増える。乗り心地もそう。ハードな手応えは姿を消し、いわゆるソフトな乗り味になる。キャビンはフラットに保たれ、高級車然とした感覚を伝える。この辺はフェラーリの新機軸になるかもしれない。
◆大人が欲するエレガントなクーペそのもの
フェラーリ アマルフィというのも、ここはローマから大きく進化した部分で、クルマの性格を物語る重要なパートだからだ。“コンフォート”を成熟させてアマルフィは完成したと言っていいだろう。2+2/FRスポーツといった大人のクーペ感は達成された。
そんなキャラクターだからだろうかインターフェイスは最新のものに代わりそこでの快適性も高めている。3つの画面からなるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)はマルチで活用できる。スマホとの連動はイージーだ。だが、それ以上に興味を持ったのはスタータースイッチ。ステアリング上に物理ボタンが復活したのはニュースだ。左手の親指で押すあの操作が戻ってきた。ユーザーボイスによるものと聞くがこれは嬉しい。
といったのがアマルフィのファーストインプレッション。その仕上がりは大人が欲するエレガントなクーペそのものである。
フェラーリ アマルフィと九島辰也氏九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。




