ニッパツは、高放熱の樹脂絶縁材を用いた金属基板を開発し、世界で初めて電動車の駆動用インバーターのパワーモジュール向けに採用されたと発表した。デンソーがこの技術を新型インバーターに導入している。
放熱性能のカギとなる樹脂絶縁材には、住友ベークライト社製の放熱絶縁シートを採用している。ニッパツは、高い熱伝導率と低誘電率を備えたこの素材の性能を最大限に引き出すため、長年培った金属基板の加工技術を活かし、両社の強みを融合させた製品の開発および量産を実現した。
従来、電動車の駆動用など高い放熱性が求められる用途にはセラミック絶縁基板が用いられてきた。これに対し、本製品は樹脂絶縁を採用しており、セラミック絶縁基板と比べてさまざまな特長がある。
まず高い放熱性を実現し、セラミック絶縁基板に匹敵する放熱性能を持ち、パワーモジュールの出力向上に寄与する。
次に電気的な損失やノイズを低減できる。パワーモジュール内の回路形成による磁界打消しにより、従来製品比でインダクタンスの約50%低減に貢献する。これにより可能となる高速駆動によって、パワー半導体の性能を最大限に引き出すことを実現する。
さらに反りが出にくく組み立てやすい。セラミック絶縁基板の課題であった温度変化後の反りが少ないためパワーモジュールへの組付けがしやすく、生産性が向上する。また、回路やベース金属の厚み変更が容易になり、回路の厚銅化が可能な一方で、ベース金属を薄くすることも可能で、柔軟なパワーモジュールの設計に対応が可能となる。
ニッパツはこれまで40年以上にわたり金属基板の開発を続け、加工技術を磨き上げてきた。今回の製品には、産業用パワーモジュールや車載DC-DCコンバーター向け製品で培ってきた絶縁材の性能を最大限に活かす独自の積層技術と、高精度エッチングによる厚銅回路形成技術を活用している。
本製品の量産は、リニューアルした駒ヶ根工場で2024年12月より開始しており、製造工程の自動化により、省人と品質の安定化を図っている。
金属基板事業については、2026年5月に駒ヶ根工場に新生産棟の完成を予定するなど、生産能力を拡大し、2030年度には金属基板関連売上として390億円の達成を目指している。ニッパツは今後も品質を重視しつつ、生産性や基板加工技術を更に高め、広く電動化社会の発展に貢献していく。




