スタンレー電気と東大、赤色レーザーダイオードのLED超える植物成長効果を実証…世界初

LD(赤)とLED(黒)が植物全体の生育に与える影響(B:t検定を実施(n=4)、*は有意差あり(p<0.05))
LD(赤)とLED(黒)が植物全体の生育に与える影響(B:t検定を実施(n=4)、*は有意差あり(p<0.05))全 2 枚

スタンレー電気は、東京大学大学院農学生命科学研究科の矢守航准教授らの研究グループとの共同研究により、赤色レーザーダイオード(LD)を用いた植物栽培が、従来の発光ダイオード(LED)光源を上回る成長促進効果を示すことを、世界で初めて実証した。

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この研究は、レーザー・光デバイス技術の農業分野への応用可能性に着目し、高精度な植物栽培技術の確立を目的として実施したもので、その研究成果は農林水産省が選定する「2025年農業技術10大ニュース」に選ばれた。

近年、気候変動や農業人口の減少といったリスクが高まる中、植物工場への関心と期待が高まっている。一方で、植物工場の普及・拡大に向けては、エネルギーコストを含む生産コストの採算性が大きな課題となっており、特に人工光源の性能は、生産性やランニングコストを左右する重要な要素となっている。

これまで人工光源としては高効率で制御性に優れたLEDが主流だった。この研究では、効率や出力制御性、配光技術などが進歩しているLDに着目し、植物工場の生産性向上に資する新たな選択肢の一つとして、LD光を用いた植物栽培の可能性を検証した。

研究では、複数の波長の赤色LEDとLDについて、それぞれの単色光をタバコの葉に照射し、光合成速度・気孔の開き方・水の利用効率などを測定した。その結果、赤色LD照射下では、同等波長の赤色LED照射と比較して、光合成速度が最大約19%向上した。

光合成速度とは、植物が単位時間あたりに二酸化炭素を取り込み、有機物を合成する速度を示す指標で、植物の生育効率を評価する代表的な指標の一つだ。

さらに、植物体全体の生育(乾燥重量、葉面積、形態変化)への影響についても評価を行った。12日間の連続照射試験では、赤色LD照射下の植物は、同等波長の赤色LED照射と比較して乾燥重量および葉面積が有意に増加した。また、赤色LED照射で確認された葉の黄化や光阻害といった生理的ストレス症状は、赤色LD照射では認められず、植物が光環境に対して高い耐性を示すことも明らかになった。

赤色LD(660nm)は、植物の主要な光合成色素であるクロロフィルの吸収ピークに高精度で一致した単色光を照射できるという点が特長である。LEDが比較的広い波長帯域で発光するのに対し、LDは波長帯が極めて狭い単色光を高精度で出力できる。

これらの結果から、赤色LDはLEDに代わる次世代型の植物栽培用光源として有望であり、植物工場などの人工光型農業における生産性向上および省エネルギー化への貢献が期待される。

今回の研究における役割分担は、東京大学大学院農学生命科学研究科が植物生理学・光合成研究の専門知見に基づく実験設計、ガス交換解析、クロロフィル蛍光解析、生育指標評価などの基礎研究を担当し、スタンレー電気が赤色レーザーダイオードおよび照射システムの構築・提供・技術協力、波長制御、出力安定性、小型・省電力化に関する技術支援を行った。

スタンレー電気は、水産事業者向けに魚の成長を促進する養殖用投光器などを既に展開している。今後も光の可能性を追求する企業として、自動車分野での安全安心への貢献だけでなく、食料・エネルギーなど将来の社会課題の解決に貢献していく。

同社は1920年に自動車用電球などの特殊電球の製造販売を目的に創業し、現在では世界の主要な四輪・二輪メーカーに製品を提供している。自動車照明以外にも可視光・赤外・紫外の各種LEDやLCDなどのコンポーネンツ製品、電子応用製品で、暮らしの安全安心に貢献している。

《森脇稔》

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