【日産 ルークス AUTECH LINE 新型試乗】“粘る足”に驚かされる、良く出来たスーパーハイトワゴン…中村孝仁

日産 ルークス AUTECH LINE
日産 ルークス AUTECH LINE全 41 枚

先に三菱の『デリカミニ』が出てしまったことで(わずか1日の差だが)、目新しさが少し削がれてしまったが、その出来の良さは出色だと感じられた。

【画像】日産 ルークス AUTECH LINE

日産『ルークス』は、先代から日産が設計し、その製造を三菱が行うということで、市場投入されているモデル。ルークスの歴史自体は2009年に始まるが、当時はいわばスズキのOEMモデルだった。2代目は三菱の『eKスペース』の兄弟車で、設計から生産までを三菱が行った。しかし、3代目、すなわち先代からは設計開発が日産で行われ、エンジンもBR06型と呼ばれる、日産が初めて軽自動車のために作ったエンジンが搭載されている。

そして4代目。これも3代目同様日産開発で、エンジンこそ先代と同じBR06がキャリーオーバーされているが、軽自動車としての成熟度は一段と上がった印象を受けるモデルである。

日産 ルークス AUTECH LINE日産 ルークス AUTECH LINE

実は、昨年デビューした時からこの車は少し気になった存在であった。だから、登場してほどなく日産に試乗を申し込んだのだが、その時点では広報車の用意がなく、筆者の場合は、日常使いなども踏まえたうえで原稿を書かせていただく関係から、いつも数日間お借りするのを常としているのだが、新車当時はメディアが殺到してゆとりのある試乗ができないことから、今になった経緯がある。

それに、実質的に同じメカニズムとボディを持つデリカミニが先に出て、試乗会を開催したことから、すでに味見が終わっていて、ルークスの試乗が遅れたという経緯もある。

◆二極化する軽自動車とルークスが取った選択

日産 ルークス AUTECH LINE日産 ルークス AUTECH LINE

軽自動車の市場比率は、このところ概ね市場全体の35%程度で推移し、昨年は世帯当たりの普及率が、若干ではあるが下がったそうである。あくまでも普及率であって、軽自動車自体の販売は伸びている。軽自動車は二極化が激しく、圧倒的に地方での需要が大きい。過疎化で一家に1台が当たり前の地方と、公共交通網が発達して自動車すら不要といわれる都市部とは、明確な交通事情の差があるから、この二極化はある意味当然だと思う。

そんな中で、今回のルークスがあえてガソリンモデルのみに絞り、ハイブリッドをやめた背景は、たぶん重いバッテリーを積むより軽量化して効率の良いガソリンエンジンのみの搭載が、燃費が良いとの判断だと思うが、都市部でも、おそらく地方でも、ガソリンスタンドの数は減少傾向にあると思えるので、今後軽自動車がどの方向に進むのか、黒船もやってくることだし、とても興味深い。

それにしても近年の軽自動車は良く出来ている。少なくとも室内空間の広さという点では、後席に関して言えば下手なリムジンよりも広いのではないかと思う。半面、後席は後ろを振り向けば即リアウィンドーなので、追突事故などの際の一抹の不安は拭い去ることができない。今はハイト系ワゴン全盛のマーケットだが、そうした安全面を考慮すると、異なった形態のモデルが登場してもおかしくはない気もする。

◆ブラックのシートも“売り”のオーテックライン

日産 ルークス AUTECH LINE日産 ルークス AUTECH LINE

話を戻してルークスである。今回お借りしたのは、「オーテックライン(AUTECH LINE)」と名付けられたモデルだ。

オーテックは、かつてはカスタマイズしたモデルや、特装車を売る独立した会社であったが、今はニスモと統合されて 日産モータースポーツ&カスタマイズに社名を変更している。つまりオーテックは今や一つのブランドというか、一つのグレードになったと考えればよいと思う。オーテックラインはまさにそうした位置づけである。だからカスタマイズされるのは内外装だけで、メカニズムには一切手が付けられていない。

オーテックラインの特徴は、ルークスのデザインテーマになっている、「角まる四角」のモチーフを生かした、フォグランプ部分のデザイン、オリジナルホイール、外板色とは無関係にシルバーに塗装されるサイドミラー、それにシートなどだそうで、大きな変更ではないのだが、ホイールとフロントの顔つきが少し変わると、やはりイメージは異なる。

シートは独特だ。一応合成皮革で水を弾く加工が施されているそうだが、通常我々が考える合皮とはイメージが違って、表皮はとても薄く感じられ、ゴワゴワ感がない。まるで耐火性能が上がった昔のレーシングスーツと、最新鋭のF1パイロットが来ているようなレーシングスーツの違いのようだ。しかもブラックのシートはオーテックラインでしか選べないというから、大きな売りの一つだと思う。

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◆しっかりと粘る足に驚かされる

走行に関しては、このクルマを返却したのちに同じターボ車だがノーマルのルークスに試乗予定なのでそちらに譲るが、ポジな部分とネガな部分は完全に三菱のデリカミニと同じであった。重心高は高いはずなのに、この種のモデルとしてはかなりしっかりと粘る足にはちょっとばかり驚かされた。

どちらかといえばデリカミニは三菱お得意のオフロード系に振っていて、4WD車の場合、車高もルークスの4WD車よりも10mm高い。今回の試乗車は4WDではないので、車高はデリカミニ4WDと比較した場合30mmも低いから、横Gが発生するコーナリングでの安定感を感じるのも至極当然の話。乗り心地のフラット感についてもKWBのダンパーが効果的である点なども、改めてじっくりとお話をしようと思う。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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