ドゥカティから2026年モデルとして、5代目となる新型『モンスター』が登場した。舞台はスペイン・マラガ。国際試乗会で、その実力をいち早く体感してきた。
◆ネイキッドの概念を変えた初代の魂を現代に
1992年にデビューし、“ネイキッド”というカテゴリーの概念を塗り替えた初代の哲学「必要なものだけ」。そのスピリットを受け継ぎながら、現代の感性と最新テクノロジーで再構築されたのが、この新型だ。
エンジンは、昨年登場した新生『パニガーレV2』譲りのV型2気筒をベースに、可変バルブ機構IVTを採用。最高出力は111psを発揮し、4000~10000rpmという実用域で最大トルクの80%以上を生み出す扱いやすい特性を実現している。
ドゥカティ モンスター 新型
さらにバルブクリアランス点検は4万5000kmごとと、クラス最長レベル。従来型テスタストレッタ比で5.9kgの軽量化も果たし、軽さと高性能、そして低ランニングコストを高次元で両立した。
車体はエンジンをストレスメンバーとするモノコックフレーム構成。『パニガーレV4』譲りの思想を取り入れた軽量両持ち式スイングアームにSHOWA製サスペンションを組み合わせ、乾燥重量は175kgと従来比−4kgを達成する。6軸IMU制御と4種類のライディングモードを備えた最新電制パッケージも抜かりない。
そしてデザイン。タンクが盛り上がった筋肉を思わせる伝統の“バイソンバック”を現代的に再解釈し、初代へのオマージュをさりげなく込めた。過去への敬意と未来への進化を同時に体現する、新世代モンスターの誕生である。
ドゥカティ モンスター 新型◆175kgという数字以上の軽快感
ワンプッシュで目覚めた新世代V2は静かに、しかし確かな鼓動で存在を主張する。ひと目で分かる軽快さとスマートさ。それでも走り出せば、初代から続く“モンスター”の血はしっかりと流れている。
まず驚くのは体感的な軽さだ。車重175kgという数字以上に、車体はひらりと身を翻す。モノコックフレームとコンパクト化されたV2エンジンの恩恵は大きく、低速コーナーでも自然体。濡れ始めたアスファルトでも路面をつかむトラクションは鮮明で、ブレーキもブレンボらしい優しくもダイレクトなタッチで指先に馴染む。
ドゥカティ モンスター 新型111psを発揮するV2エンジンは、数値以上の余裕を感じさせる仕上がりだ。どの回転域からでも、なみなみとトルクが立ち上がり、可変バルブIVTが効き始める中速域ではアクセルに対してシャープに反応する。乾いた排気音は回転上昇とともに鋭さを増し、高回転まで淀みなく伸びる様はまさにパニガーレV2を思わせ実に爽快だ。
そして、ライディングモードを「スポーツ」に切り替えれば、さらにアグレッシブに完全なスポーツバイクに変貌する。
◆スペックでは語り尽くせない“走る悦び”
ポジションはとにかくコンパクトかつスリムで、まさしく400ccクラス並みだ。楽な姿勢で自然と肩の力を抜いてくれるので、雨の中を約150km走行したが疲れは最小限だった。郊外のワインディングでは、軽快なフットワークで狙ったラインに確実に乗せていける安定感が際立つ。超軽量Vツインとマス集中した車体だからこそ成せる走りのクオリティだろう。
ドゥカティ モンスター 新型残念ながら終日雨という条件下だったが、そのぶんコーナリングABSやトラクションコントロールの有難さを実感。初めて乗るライダーにも心強いはずだ。また、日本向けにはシート高を最大40mm下げたロー仕様(775mm)も用意されるとのこと。足着きに不安を感じるライダーにも朗報だろう。
余計なものを削ぎ落とし、走りの純度を高める。それがモンスターの哲学だ。だが新型はそこに現代のテクノロジーを融合し、単なるノスタルジーではない進化を遂げた。エンジンを止めた後、静寂の中に残る濃密な満足感。スペックでは語り尽くせない“走る悦び”が、確かにここにある。これこそが、新世代モンスターの真価だ。
ドゥカティ モンスター 新型■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★
佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。




