ボディ剛性はクルマの動きや乗り味を左右する重要な要素だ。そこで注目されるのがボディ補強チューニング。昔ながらの定番から最新手法まで、代表的な補強方法をおさらいする。
◆ボディ補強チューニングとは? クルマの剛性を高める基本を知る
クルマのボディは鉄板をプレスして各パーツを作り、それらを重ね合わせてスポット溶接で組み立てている。スポット溶接は重ねた鉄板を大きな力で押し付けながら瞬間的に電気を流し、その部分を溶かして接合する仕組みだ。そのスポット溶接を増やしたり、隙間に素材を流し込んだり、補強バーを追加したりと、ボディを鍛える方法にはいくつもの種類がある。
◆ボディ補強法:1 スポット溶接を追加して剛性を高める
ボディを組み立てているスポット溶接の間に、さらにスポット溶接を追加する方法だ。スポット溶接の間は鉄板同士が接していても溶接はされていないため、ある程度力を逃がしたり吸収したりする余裕がある。そこが絶妙なしなりを生み出している一方で、スポット溶接を増やすことでより強いボディに仕上げることができる。
重量を増やさずにボディ剛性を高められるため、レース車両やタイムアタック車両で好まれる手法である。しかし細かく施工するにはボディを一度丸裸の状態にする必要があり、専用設備を備えた工場でなければ対応しにくいためコストが高くなりやすいのが難点だ。街乗り用のクルマでは内装や装備品を外さずにドア枠まわりだけを施工したり、窓を外してその周辺のみを施工したりする方法もある。
◆ボディ補強法:2 ロールバーや補強バーを追加する
レーシングカーには欠かせないロールバー。取り付け方法にはネジ留めと溶接がある。ネジ留めはクラッシュ時の乗員保護には有効だが、ボディ剛性アップの効果はそれほど大きくない。一方で溶接取り付けではAピラーやBピラー、フロア各部と接合されるため、ボディ剛性はある程度高くなる。ただし構成によっては50kg以上重くなることもあり、重心の高い位置に重量が加わるため、運動性能の面ではマイナスになる場合もある。
また、タワーバーやピラーバーなどの追加補強はネジ留めで装着する製品がほとんどだ。重量は増えるものの効果は一定程度期待できる。とはいえ無闇に追加しすぎるとボディが硬くなりすぎてクルマが曲がりにくくなるなどのデメリットもあるため、適切な選択が必要になる。
◆ボディ補強法:3 発泡ウレタンで内部空間を埋める
フレーム内部などの空間に発泡ウレタンを流し込み、内部で膨らませて補強する方法だ。ほとんど重量増を伴わずボディ剛性が高まるとして、一時代を築いたともいえるチューニングだった。ただし経年劣化でボロボロになることがあったり、その後にスポット溶接のような補強を追加したい場合にウレタンが引火してしまう問題もあり、徐々に使われなくなっていった。それでも現在でも部分的に施工されるケースはある。
◆ボディ補強法:4 ダンパーを使った補強パーツに注目
近年増えているのがこの方法だ。タワーバーの中央にオイル入りダンパーを備えたものや、摩擦抵抗によって減衰機能を持たせたダンパーを配置したものがある。代表的なのはヤマハ発動機のパフォーマンスダンパーや、アイシンのモーションコントロールビームだ。
どちらもボディに発生するゆがみや振動を抑えてくれる。ボディ補強というより、ボディの動きを落ち着かせるダンパーに近い役割を果たすパーツといえる。ボディが極端に硬くなったような体感は少ないが、乗り心地がしっとりし、走りがスムーズになるなど快適性の向上に効果的だ。近年ではさまざまなメーカーから発売されている。




