3代目となる新型リーフで、横浜から静岡の日本平ホテルまで往復300km超のロングドライブを敢行した。日帰りでこなせる時代になったことに、EVの進化を実感する。
新型リーフAUTECHで実感したEVの進化とロングドライブ性能
NISSAN LEAF AUTECH
全くの偶然なのだが、筆者はかつて初代リーフで同じ行程を一泊二日でロケしたことがある。バッテリーを強化した進化型モデルではあったが、容量は30kWh。1充電あたりの航続可能距離は280kmだったのだから、泊まりになったのも無理はない。おまけに街中や高速道路にある充電器の性能も、当時はまだ発展途上だった。ちなみに2代目リーフは60kWhバッテリーを搭載するe+で、航続可能距離は450km。エアコンなどを使う現実的な条件で今回の行程を無充電で走ろうとすれば、かなりギリギリだったのではないだろうか。いずれにしても、3世代続く世界初の量産EV『リーフ』の進化は目覚ましい。
NISSAN LEAF AUTECH今回のパートナーは、78kWhのバッテリーを搭載するB7をベースとしたリーフ AUTECHだ。新型リーフのB7 Xグレードが航続可能距離702kmを達成したと話題になることが多かったが、リーフAUTECHのベースとなる上級仕様のGグレードは、航続可能距離が685kmとなる。多少落ちるとはいえ、十分に安心できる性能といえるだろう。航続可能距離に余裕ができたことで、3代目リーフは旧型よりも空力への影響を気にすることなく、ドレスアップも楽しみやすくなった。
NISSAN LEAF AUTECHAUTECHの専用ホイールが醸し出す上質さも魅力的だ。落ち着いた印象を与える外装色のディープオーシャンブルー/スーパーブラック 2トーンに、ホイールの輝きが絶妙なアクセントを加えているのも好印象である。
NISSAN LEAF AUTECHさらにフロント、サイド、リアにメタル調フィニッシュのプロテクターを備えることで、安定感あるスタイルと上質感を両立しているのも嬉しい。AUTECHはもともと、低重心かつワイドスタンスな佇まいを強く印象付けるのがうまいブランドだが、このリーフでもその持ち味は健在だ。車体下部に効果的に専用パーツを配し、引き締まった塊感を演出。
NISSAN LEAF AUTECHフロントバンパーにはAUTECHブランド発祥の地である湘南・茅ヶ崎の海をモチーフにした意匠も盛り込まれており、ただ上質なだけではない、どこか情緒を感じさせるデザインに仕立てられている。さらに一部をブラックで引き締めたフロントまわりは、ボディカラーを問わずスポーティさを際立たせる。シグネチャーLEDに採用された、海を進むボートの後方に生まれる“航跡波”をイメージした模様や、海面の煌めきを思わせるドットパターンのフィニッシャーなども含め、細部までAUTECHらしい世界観が行き届いていた。
NISSAN LEAF AUTECHインテリアもブラック基調で落ち着いた雰囲気にまとめられており、そこにAUTECHならではのブルーステッチやパイピングが加えられている。こうした青の使い方は派手すぎず、しかし確実に特別感を伝えてくるのがうまい。シートには、しっとりとした触感と身体をやさしく受け止める感覚をもたらす素材が使われており、見た目だけでなく触れた時の満足感も高い。
NISSAN LEAF AUTECHシートベルトまでブラックで統一され、ステアリングやインストパッドに施されたブルーステッチとともに、キャビン全体の世界観にブレがないのも印象的だった。プレミアムを声高に主張するのではなく、細部の積み重ねで上質さを伝えてくるあたりが実にAUTECHらしいと言える。
Google搭載と高い静粛性が生む快適な移動空間
NISSAN LEAF AUTECHリーフとしては初となるGoogle搭載ということもあり、音声認識の性能は言わずもがな、一発で日本平ホテルをセットして出発した。横浜市内での走りはどこもかしこもスムーズという印象で、軽やかに駆け抜けていく。モーターは磁石を6分割し、位相をずらしたスキューローターを採用することで、モーターそのものの回転振動を抑制。さらにモーター、インバーター、減速機を一体化した3-in-1のEVパワートレインを採用することで、サスペンションメンバーの開口部を小さくし、マウントブラケットを短く高剛性にできたことも効いているのだろう。
NISSAN LEAF AUTECH求めた通りにトルクが立ち上がり、それがしっかりとリニアに反映されていく様は見事な仕上がりだ。最大355Nmを瞬時に発生しても、それをしっかり受け止める懐の深さもさすがである。静粛性もかなり高く、インバーターなどEVならではの高周波ノイズも気にならない。
NISSAN LEAF AUTECH余談だが、ヘッドレストに備えられたBOSEのスピーカーはなかなか使いやすい。音が良いのはもちろん、Bluetoothを使った携帯電話の通話時に、相手の声がとにかく聞き取りやすかったのだ。贅沢装備で終わらない実用性の高さも光っていた。
NISSAN LEAF AUTECH一方、乗り心地もしなやかでスムーズだ。シートのウレタン密度を先代より30%高めたほか、車体のねじり剛性は86%アップ、リアマルチリンクサスペンションの横剛性も66%アップしている。足がよく動くだけでなく、ピストンスピードの速い領域で減衰力を抜いてくれるショックによる突き上げ抑制、さらにリアサスペンションメンバーブッシュの前後に空間を設けて入力をいなしている点も効いているのだろう。
NISSAN LEAF AUTECHこれらは首都高速の荒れた路面で見事に効果を発揮しており、非常に印象的だった。どっしりと構え、安定感高く駆け抜けていく姿は、ひとつ上のクラスへと成長したことを感じさせてくれる。
プロパイロット2.0とワインディングで見えた新型リーフの実力
NISSAN LEAF AUTECH高速道路での移動では、主にプロパイロット2.0を試してみた。いわゆるハンズオフドライブが可能で、両腕を下ろしたままリラックスして巡航できる感覚がたまらなく心地いい。それを新東名高速道路の120km/h制限区間でも許容してくれるのだから感心するし、その際も決してフラつくことなく、安定して突き進んでくれる。
NISSAN LEAF AUTECHもちろんドライバーはしっかりと周囲を監視している必要があるが、それさえ怠らなければ十分にシステムは作動してくれる。トンネルなどでGPSが受信できない状況になると、ステアリング保持を促すアナウンスが入るが、それ以外ではハンズオフを継続して使えるロバスト性の高さがあった。
NISSAN LEAF AUTECH続いて日本平ホテルへ向かうワインディングロードでは、一体感あふれる走りが感じられた。ラックアシスト式の電動パワーステアリングは、切り始めから切り込みまでクセなく自然に反応し、気持ちよく駆け抜けていく。その際、ボディの一体感とパワーユニットのレスポンスにも優れ、狙った通りに安定感高く動いてくれるところにも満足した。まるでスポーティクーペのように走りが楽しめる、ベース車両のハンドリングの良さが、スポーティな外観を持つAUTECHの魅力を引き立てていると感じた。
新型リーフAUTECHは日本平ホテルでも映える上質なEVだった
NISSAN LEAF AUTECHさまざまなチェックと撮影を終えて到着した日本平ホテルのエントランスで、リーフAUTECHはとにかく映えて見えた。落ち着いた色使いとスタイルが、このシチュエーションにとてもよくマッチしていたからだ。かつてドラマ『華麗なる一族』で登場した庭園で、許可を得て撮影を行った際も、自然の中に入ってもなお静かで、周囲の宿泊客や鳥たちも戸惑わせるようなことはない。あらゆるシーンを邪魔しない佇まいは、実に見事だった。
NISSAN LEAF AUTECH撮影を終えて充電残量を確認すると、まだ60%も残っており、航続可能距離は313kmと表示されていた。つまり、ここからさらにもう一往復できてしまう計算だ。撮影を終えて帰りの準備をしている間にせっかくなので充電器にはつないでみたが、必ず充電が必要という状況ではなかった。そこから帰路につき、復路の海老名パーキングエリア時点での残量は33%、航続可能距離は161km。やはり充電する必要はないのだが、お手洗いに行く間で10分ほど急速充電に接続しておいたら、残量は42%、航続可能距離は202kmとなっていた。
NISSAN LEAF AUTECHこれらはもちろん一例であり、冷暖房の使い方や走り方によっても変化はあるだろう。とはいえ、そんな時は道中のどこかで急速充電器につなげば済む話である。ちなみに、バッテリー残量10%から80%までの充電時間(バッテリー温度25℃時)は、90kW充電器で約45分、150kW充電器で約35分とかなり速い。ここも大きな安心材料だ。
NISSAN LEAF AUTECH今回のように往復で300km程度の日帰り旅行であれば、充電の心配をせずに快適なドライブが楽しめるのだが、そうではない場合にはGoogleナビで検索をすると、航続可能距離を考慮した充電スポットを含めたルート案内がされる。そのルートには充電スポットでの必要な充電時間まで表示されるので、スケジュールも立てやすくなる。ここで感じたのは、新型リーフAUTECHがもたらす価値は、単に“充電しなくてもよく走る”ということだけではなく、たとえ途中で充電が必要になったとしても、その時間をただの待ち時間ではなく、立ち寄った場所でひと息ついたり、景色を楽しんだりする時間へと変えてくれる。
NISSAN LEAF AUTECHホテルや美術館のような上質な空間と相性が良いAUTECHなら、そうした時間までも旅の一部として自然に受け止められる。移動中だけでなく、立ち止まる時間まで豊かにしてくれるところに、内外装が専用デザインのAUTECHならではの魅力があるように思えた。
NISSAN LEAF AUTECH今回の撮影時、海老名パーキングエリアでは急速充電器の大規模工事が行われていたのだが、これから高出力の充電器がずらりと並ぶのだろう。いまEVは逆風とも言われるが、実際にはこのように着実な進化を遂げている。それは今回のリーフも同じだ。世界初となる3世代目へ突入したEVの性能は、間違いなくこれまでとは別世界。EVが当たり前のように安心して使える時代になったことを、はっきりと感じさせてくれた。
快適なドライビングフィールを味わえる進化した日産『リーフAUTECH』の詳細はこちら




