ヤマハ発動機、抗がん剤評価試験を6週間に短縮 オルガノイド研究で成果

ヤマハ発動機の細胞ピッキング&イメージングシステム「CELL HANDLER」
ヤマハ発動機の細胞ピッキング&イメージングシステム「CELL HANDLER」全 1 枚

ヤマハ発動機は、オランダの研究機関ハブ・オルガノイド(HUB Organoids B.V.)と2021年から進めてきた共同研究の成果を発表した。

がん治療の研究に使われる「オルガノイド」を用いた抗がん剤評価試験に、同社の細胞ピッキング&イメージングシステム「CELL HANDLER」を活用することで、より少ない検体量・短い試験期間で、従来と同等の精度の結果を高い再現性で得られることを確認した。この研究成果をまとめた論文は、国際学術誌「NPJ Biomedical Innovations」に掲載された。

オルガノイドとは、幹細胞を立体的に培養することで人の臓器の構造や機能の一部を再現した「ミニ臓器」のような実験モデルだ。iPS細胞や成体幹細胞などから作られ、創薬研究やがん治療の研究分野での活用が期待されている。

がん治療では近年、患者ごとに効く薬を事前に予測する技術の実用化が注目されている。患者の細胞から作ったオルガノイド(PDO)で実際に薬を試す「薬剤感受性試験」は有望な手法だが、多くの細胞と時間が必要で、臨床での利用が難しいという課題があった。

ハブ・オルガノイドは、患者由来のオルガノイド作製技術を世界的に牽引する企業だ。ヤマハ発動機と同社(当時はHubrecht Organoid Technology)は2019年より共同研究を開始。本研究は2021年2月から2024年12月にかけて実施された。

研究では、患者のがん組織から取り出した細胞でオルガノイドを作製・培養し、薬効を評価する一連のプロセスにCELL HANDLERを導入。目的のオルガノイドだけを選んで試験用の部材に移動させる役割を担った。

その結果、従来は研究者が手作業で行っていたオルガノイドの選別・移動と比べ、大幅な省力化・効率化を達成した。試験の所要時間は従来の約13週間から約6週間に短縮。試験に必要なオルガノイドの数も従来の25分の1で、同等の精度の評価結果が得られた。手作業の削減により実験のばらつきも小さくなり、再現性も向上した。

今後ヤマハ発動機は、この手法を多様ながん種・患者サンプルへ応用する可能性を探るとともに、製薬企業における新薬候補の前臨床評価や橋渡し研究への活用も目指していく。

《森脇稔》

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