走った距離に応じて税負担---EV時代の自動車税、「走行距離課税」の背景

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5月末は自動車税の納付時期だ。自動車ユーザーにとって、毎年恒例の負担となっている。こうした中、EV(電気自動車)普及を背景に、自動車関係税の新たな仕組みとして「走行距離課税」が議論されている。

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走行距離課税とは、クルマが走行した距離に応じて税負担を求める仕組みだ。EV時代に対応した新たな自動車税制として注目を集めている。

●EVの排気量って?

現在、日本の自動車税(種別割)は排気量に応じて税額が決まる仕組みとなっている。しかしEVには排気量の概念がない。このため、従来の排気量課税は「EV時代に合わなくなる」との指摘が以前から出ていた。

いっぽう、自動車重量税は車両重量に応じて課税される。EVは大型電池を搭載するため車重が重くなりやすく、重量税では不利になりやすい側面もある。

こうした中で浮上しているのが、走行距離に応じて負担を求める「走行距離課税」だ。

●走行距離課税の導入は決定されていない

ただし、2026年5月時点で、日本国内に走行距離課税は正式導入されていない。政府として制度導入を決定した事実もない。

議論が大きく可視化したのは2022年だ。同年10月の政府税制調査会では、EV普及によって燃料課税収入が減少する可能性が論点となり、「道路利用に応じた負担」のあり方が議論された。

さらに同年11月には、鈴木俊一財務相(当時)が記者会見で、走行距離に応じた課税について「一つの考え方」と発言。これをきっかけに、「走行距離課税」という言葉が広く知られるようになった。

●ガソリン税収が減りそうだから

背景にあるのは、EV普及によるガソリン税収減への懸念だ。

現在は、ガソリン車が燃料を消費するたびにガソリン税を負担しているため、「走るほど税負担が増える」構造になっている。しかしEVはガソリンを使わないため、ガソリン税の対象外となる。

EV普及が進めば、道路整備などを支える燃料課税収入が減少する可能性がある。このため、走行距離に応じた新たな負担制度が議論されている。

いっぽうで、地方負担への懸念も大きい。地方では公共交通機関が限られ、通勤や通学、買い物などで長距離移動が必要になるケースが多い。このため、走行距離課税が導入された場合、「地方ほど不利になる」との指摘が出ている。物流事業者や営業車を多用する企業への影響も大きいとみられている。

日本自動車工業会(JAMA)も、自動車ユーザーの負担増につながる制度には慎重姿勢を示している。EV時代の税制見直しについては、自動車関連諸税の簡素化や公平化を求めている。

●ユーザー側では認知や理解が十分に進んでいない

こうした中、リセールバリュー総合研究所(東京都港区港南)は、全国の自家用車保有者434人を対象に「自動車税に関する実態・実感調査」を実施した。

調査によると、「走行距離課税」について「今回初めて聞いた」と回答した人は53.4%で半数を超えた。いっぽう、「名前や概要は聞いたことがある」は36.9%、「内容まで理解している」は9.7%にとどまった。

政策レベルでは議論が進むいっぽうで、一般ユーザー側では認知や理解が十分に進んでいない実態が浮かび上がっている。

《高木啓》

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