『スーパーキャリイ』でCO2を回収、再利用へ…農家の課題に向き合うスズキらしい「マルチパスウェイ」の可能性…人とくるまのテクノロジー展2026

スズキのCO2回収装置付きスーパーキャリイ「CARBON CAPTURE CARRY」
スズキのCO2回収装置付きスーパーキャリイ「CARBON CAPTURE CARRY」全 15 枚

スズキは「人とくるまのテクノロジー展 2026」で、CO2回収装置を搭載した軽トラック『スーパーキャリイ』を展示した。スズキが考える「マルチパスウェイ」の可能性を形にした一台として、会場では注目を集めた。

【画像】スズキのCO2回収装置付きスーパーキャリイ

「CARBON CAPTURE CARRY」と名付けられたスーパーキャリイには、農作業や移動時に車両から出る排気ガスからCO2を回収する装置を搭載。回収したCO2を農作物の成長促進に活用するものとした。車両の燃料にはカーボンニュートラル燃料(CNF)の使用を想定し、これらにより「カーボンネガティブ」を実現する。

車両のキャビン後端下に吸湿材、吸着材、荷台下に冷却回路と気液分離装置を搭載し、コンパクトな装置で多くのCO2を回収できる技術となる。

スーパーキャリイに搭載されたCO2回収装置スーパーキャリイに搭載されたCO2回収装置

排気ガスに対し、三方弁を介して経路を変更し「高温ガス」を導入、C02回収を妨げる要因となる排気ガス中のH2O(水)を効果的に除去しながら、吸着材でガス中に含まれるCO2をN2(窒素)と脱離する仕組み。高効率かつ低コストでCO2を回収するシステムとして開発を進めており、幅広い運転条件で効率よくCO2を回収することをめざす。

もともとハウス農業では灯油を燃やして出るCO2を活用し、野菜などの成長促進をおこなっている。これをクルマから排出されるCO2に置き換えることで、燃焼する灯油の使用量を低減させる。

スズキによると、CO2回収装置を搭載した車両で約20km走行することで、排出されるCO2約2kgのうち約半分の1kgを回収することができる。これにより20a規模のハウス農業において灯油燃焼に供給するCO2の約25%を置き換えることができるという。

スズキのCO2回収装置付きスーパーキャリイ「CARBON CAPTURE CARRY」スズキのCO2回収装置付きスーパーキャリイ「CARBON CAPTURE CARRY」

「マルチパスウェイ」というと水素や電気をはじめとした代替エネルギーによるパワートレインに注目されがちだが、CO2排出量の削減・利活用といった本来の目的に立ち返り、ユーザーに寄り添った課題解決、マルチパスウェイの可能性を示しているスズキらしい取り組みと言えるだろう。

同展でスズキはこのほか、「10年先を見据えた技術戦略2025」の概要や、電動車いす開発の知見を活かした多目的電動台車「MITRA」、船外機エンジン生産におけるCO2排出を低減する低温・耐熱アルマイト処理技術を紹介する。

《宮崎壮人》

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