イスラエル発ハイファイスピーカーの名門、モレルが築いた“美音”の世界

イスラエル発ハイファイスピーカーの名門、モレルが築いた“美音”の世界
イスラエル発ハイファイスピーカーの名門、モレルが築いた“美音”の世界全 8 枚

ハイファイオーディオのトップシーンを走り続けるモレル。1975年、創業者メイヤ・モルデハイによって設立されたイスラエルのスピーカーメーカーだ。

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創業当時の資料が少ないため詳しい流れは分からない部分もあるが、私の記憶では1980年代にイギリスに会社があり、スピーカー開発と製造を目的としたR&D(Research and Development/研究開発)というスタンスだったと思う。当時はソビエト(現ロシア)と米国との冷戦が続いていたが1990年代の冷戦終結後を機にイギリスからメイヤ・モルデハイの故郷であるイスラエルに拠点を移すこととなった。

イスラエルは軍事産業が盛んで、国指定の工場がいくつもあり機関銃や航空機の部品、計測器など兵器製造に携わる職工さんが多くいたそうだ。精密機器の製造に携わる職工さんを新工場建設時に募り採用した。このような背景からMIL(ミリタリー/軍規格)スペックに準ずる精巧な作りのスピーカーが生まれる。一般の市販スピーカーのはるか上をいく水準で、イギリスで製造していたころと比べると品質は数倍以上になったそうだ。

長年、本格的なカーオーディオシステムを組んでいたマニアなら「モレル」と聞くとツイーターを思い出すだろう。世界のファンから認められるきっかけとなったのは、28mm口径のドーム型ツイーター“”スプリーモ・ピッコロ(SUPREMO PICCOLO)”の出現だ。異例のワイドレンジで周波数特性は1,600Hz~22,000Hz、再生限界はfo300Hz~50,000Hz。92dB/1W・1mと能率は高く、かつ低歪みを実現していた。

当時、このツイーターを他社製ミッドバスと組み合わせる例も多かったようだが、後に自社開発の高性能ミッドバスを組み合わせたパッケージ「スプリーモ」がビッグヒットする。2012年のCES(米国コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)ではカーオーディオ部門のアワードに輝いた。スプリーモはその後もブラッシュアップを重ね、高品位なロングランモデルとして君臨することとなる。

◆創業50年を迎えたモレルの魅力とは

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創業者のメイヤ・モルデハイは音楽への深い愛に触発され、技術者としての揺るぎない探求心によって明瞭な音質の新しい基準を打ち立てた。その数々のテクノロジーについてここでは割愛するが、詳しくはカタログ等で調べて読んでほしい。すべての製品ではないが、ハイグレードモデルは本国工場で手作業によって組み立てられ7つの異なる品質試験を行い、高水準を満たしていることをチェックしたうえで出荷される。長年の音響実験や研究を積み重ねてきた専任チームのノウハウを結集させ精巧なドライバーユニットがひとつひとつ生まれていく。

◆音楽を実に美しく聴かせる求心力のあるサウンド

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日本正規輸入元、ジャンライン&パートナーズが所有するデモカー、アウディ『A4アバント』を紹介しよう。2025年、モレルは創業50周年を迎え、特別仕様のハイエンドスピーカーをリリースした。スプリーモ63スペシャルエディションはスプリーモを基軸とした進化版で、現代のDSPシステムにマッチする新しいノウハウを投入し、ハイエンドモデルとしてプロショップやユーザーから高い評価を得ている。

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昨年の春、同製品が輸入されると同時にデモカーのシステムが大幅に刷新された。ご覧のとおりフロントは3ウェイで、28mm口径のソフトドーム型ツイーター、カーボン素材を採用した89mm口径のミッドレンジ、そしてカーボンの16.5cmミッドバスをワンパッケージ化。

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これらのスピーカーを繊細かつ精緻に鳴らすため、ARC AUDIO製の新型パワーアンプ「カッパーコンペティション」を搭載する。

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同機はジャンライン&パートナーズが特別にオーダーしたカスタム仕様で、米国では発売されていない特別モデルだ。CU4.4-Competition(4ch)を2基フロント再生用に使用し、CU4.2-Competition(2ch)はサブウーファー駆動用として使用する。なおサブウーファーはMorel Ultimo Ti804(20cm口径)を2本、リアラゲッジのエンクロージャーに収めてセット。音のコンピューターともいえるDSP(デジタルシグナルプロセッサー)はARC AUDIO・PS12-PROが装備され、再生プレーヤーのDAP(デジタルオーディオプレーヤー)は音質向上を狙ってFiiO・M27 Titaniumに換装されている。

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取材中、短い時間であったがハイレゾ音源を中心に聴かせていただいた。車室内は静かで、音が出た瞬間に予想を上回る広大なサウンドスペースがダッシュボード前方からウインドウにかけて展開する。S/Nがすこぶる良好で、超低域からリニアに伸びる超高域までスーパーワイドレンジ。弱音の繊細なディテールの再現力はもちろん、立ち上がりのダイナミックな音の出方はこのMOREL SUPREMO 63 SPECIAL EDITIONの特徴であり、精度に優れるユニットの製作および音作りにより、唯一無二の存在といって過言ではないと確信した。リアルとナチュラルが高い次元でバランスするシステムデザインと音調整にも感服した。

《永松巌》

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