VWグループ、V2G技術を量産市場へ…EVバッテリーを仮想発電所として活用

VW ID.7をエリ・ビディ・チャージャーに接続し双方向充電
VW ID.7をエリ・ビディ・チャージャーに接続し双方向充電全 1 枚

フォルクスワーゲングループは、電気自動車(EV)のバッテリーから電力網へ電力を送り返す「ビークル・トゥ・グリッド(V2G)」技術を、複数ブランドにまたがる形でドイツ市場に投入すると発表した。

V2Gとは、車載バッテリーに蓄えた電力を電力網に戻す技術だ。EVは充電・蓄電するだけでなく、特定の時間帯に電力を系統へ供給できるようになる。ユーザーにとっては収入を得たりエネルギーコストを削減したりする機会が生まれ、多くの車両・充電ポイント・料金プランをインテリジェントに制御することで電力システムに柔軟性をもたらす。

サービス展開の基盤となるのは、すでに欧州の路上を走るMEBプラットフォーム搭載車約100万台(うちドイツ国内は約36万台)だ。これらはすでに双方向充電に技術的に対応しており、複数ブランド・モデル・市場への段階的な拡大を可能にする。

■ドイツで複数ブランド向けV2Gサービスを開始

サービス開始時の対象は、ドイツ国内のフォルクスワーゲン、フォルクスワーゲン商用車、クプラの顧客だ。技術・規制・製品面の要件が整い次第、フランスや英国など他のグループブランド・市場への拡大も予定している。

パッケージ内容は、対応EVと直流(DC)双方向充電器「エリ・バイディ・チャージャー」、新料金プラン「フォルクスワーゲン・ナトゥアシュトローム V2G フロー」、制御アプリ「エリ・バイディ・アプリ」、そしてバックグラウンドでのエネルギー最適化で構成される。

対象車両は、バッテリー容量77kWh以上のIDソフトウェア3.5搭載モデル、およびIDソフトウェア6搭載の全IDモデルを予定している。既存の大規模な車両フリートと、MEBプラットフォームを基盤とする将来の量産モデルの両方をカバーする。

システムの使い方はシンプルだ。ユーザーは対応するエリ・バイディ・チャージャーに車両を接続し、アプリで「次に車が必要な時刻」と「最低充電残量」を設定するだけ。残りの接続時間はエネルギー用途に活用される。現在の計画では、初年度の契約で最大720ユーロの接続ボーナスが得られる見込みだ。

■エリがグループのエネルギーマネージャーとして機能

グループ傘下のエネルギーブランド「エリ」は、エネルギー統合・アプリ制御・料金ロジック・バックグラウンド最適化・バッテリー容量の集約・柔軟性のマーケティングを一括して担う。

V2Gの市場展開にあたり、エリはテクノロジーサービスプロバイダーである「ザ・モビリティ・ハウス・エナジー」の技術も一部活用する。同社の「フレックスエンジン」プラットフォームはバッテリー容量を集約し、双方向充電器を提供する機能を持つ。

■再生可能エネルギーの余剰活用にも貢献

再生可能エネルギーの拡大は電力システムへの要求を根本的に変えており、柔軟な蓄電ニーズが高まっている。フラウンホーファーISIおよびフラウンホーファーISEがトランスポート&エンバイロンメント向けに実施した調査によると、双方向充電により2040年までに欧州の電力システムコストが年間最大220億ユーロ削減でき、2030年から2040年の累計では約1750億ユーロの削減効果が見込まれる。

また、2024年にドイツ国内だけで約9374GWhの再生可能エネルギーが出力抑制されており、この電力量は約300万台のバッテリーEVを1年間走らせるのに十分な量だ。

■パワー2ドライブ開幕と同時に登録受付を開始

パワー2ドライブの開幕に合わせ、エリのウェブサイトでV2Gサービスへの事前登録受付が始まった。登録は次のステップへの非拘束的な関心表明となる。DCの双方向充電器の注文とフォルクスワーゲン・ナトゥアシュトローム V2G フロー料金プランの契約は、2026年末ごろの開始を予定している。

《森脇稔》

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