フォルクスワーゲンは、近い将来の量産を目指す新型EVのプロトタイプ『ミッション・エフィシェンシー』を発表した。同車は3つの世界記録を達成し、空力性能と電費の両面で卓越した性能を示している。
■3つの世界記録
VW「ミッション・エフィシェンシー」
第1の記録は、空気抵抗係数(Cd値)0.158の達成だ。これは公道走行が認可された市販車として世界最低の数値である。
第2の記録は、速度を68km/hに一定に保ち、登り坂やエアコンなどの補機類を使用しない「理想走行」における消費電力6.48kWh/100kmだ。
第3の記録は、実走行における電費だ。ドイツのウォルフスブルクにあるフォルクスワーゲン開発センターを出発し、ポーランドのポズナン、チェコのオロモウツを経由してオーストリアの首都ウィーンまで、1278.36kmを走破した公式テスト走行で達成した。平均速度67.72km/h、最高速度138km/hで走行し、充電ロスを含む実消費電力は7.51kWh/100km、充電ロスを除くと6.89kWh/100kmを記録した。54.9kWh(ネット)のバッテリーは途中1回の充電のみで、ウィーン到着時の残航続距離は164.0kmだった。
■量産技術をベースに開発
フォルクスワーゲン・ブランドCEOでブランドグループ・コア責任者のトーマス・シェーファー氏は「ミッション・エフィシェンシーは、電動化時代においてフォルクスワーゲンが何を大切にしているかを示す理想的な手段だ。一部の人だけでなく、大衆のための技術を追求している」と述べた。
同車はMEB+プラットフォームと前輪駆動を採用し、『ID.ポロ』および『ID.クロス』と共通の量産技術を使用している。搭載する電動モーターは99kW(135PS)で、高電圧バッテリーもID.ポロと共通だ。
■革新的な空力設計
VW「ミッション・エフィシェンシー」空気抵抗の低減には、涙滴型の流線形ボディ、小さな前面投影面積(2.08平方m)、アクティブ冷却エアフラップ、後輪のカバー、完全に覆われたアンダーボディが貢献している。ドアはフレームレスウィンドウを採用し、ドアハンドルはボディに埋め込まれている。
速度80km/h以上では、標準仕様のID.ポロと比べて消費電力が30%以上低減される。140km/hでの消費電力は、ID.ポロが100km/hで走行する際とほぼ同等だ。
ボディサイズは全長4775mm、全高1392mmで、2+2シートを備え、荷室容量は481Lだ。ボディはID.ポロのコンポーネントと自立型アルミ構造、高強度炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とアラミドの複合材を組み合わせている。
■タイヤと制動技術
VW「ミッション・エフィシェンシー」タイヤはコンチネンタルと共同開発した「エココンタクト7」ベースのコンセプトタイヤを採用。転がり抵抗は1トンあたり4.9kgで、EUのタイヤラベル最高クラスAの基準値を約25%下回る。
ホイールには特許取得済みのリムデフレクターを内側に装着し、リム内への空気流入と乱流を防いでいる。前輪にはID.ポロのマクファーソン式フロントアクスルと油圧ブレーキを採用し、後輪には初めて電動機械式ブレーキを採用した。この新型ブレーキは国際テクノロジー企業のオモビオと共同開発したものだ。
■ソーラー発電と軽量インテリア
VW「ミッション・エフィシェンシー」ガラスルーフとトランクリッドには出力370Wの太陽光発電システムを搭載し、車載電装系に電力を供給する。季節や地域、天候によって、1日あたり最大30km分の航続距離延長が可能だ。
室内はスピーカーシステムを省いてブルートゥーススピーカーを採用し、インフォテインメントのディスプレイはスマートフォンやタブレットで代替する「BYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)」コンセプトを採用することで軽量化を図っている。




